ウシャス(英語表記)Uṣas

デジタル大辞泉 「ウシャス」の意味・読み・例文・類語

ウシャス(〈梵〉Uṣas)

インド神話で、あけぼの女神太陽神スーリアに先立って現れ、暗黒を追い、生物の目を覚まし、祭祀さいし開始を促す。ギリシャ神話エオスローマ神話アウロラと同一起源。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウシャス」の意味・わかりやすい解説

ウシャス
Uṣas

インド神話における暁の女神。ディアウス (天神) の娘,ラートリー (夜の女神) の妹とされ,スーリヤ (太陽) の母または恋人であるといわれる。この女神は常にうら若い美女として『リグ・ベーダ』における女神中最も顕著な存在であり,天則を誤らず,時を違えず,太陽の先駆として暗黒を退け,生物を覚醒させ,活動を促進させる。後世の神話においては,スーリヤの影に隠れ,重要性を失うにいたる。

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世界大百科事典(旧版)内のウシャスの言及

【夜】より

… 古代インドの神話では,夜の女神ラートリーRātrīは太陽の母親で,毎夜胎児の太陽を身ごもってはたいせつにはぐくんで出生させるが,太陽が分娩されると同時に夜は終わり,ラートリーは消滅せねばならぬので,彼女はこの愛児を自分の乳を与えて育てることはできない。そこでラートリーが生む太陽を代わって育てるのが,彼女の妹の曙の女神ウシャスUṣasで,彼女は同時に,闇の悪魔たちを激しい攻撃を加え西の果てに追い払って,世界に夜明けをもたらす。つまりこの神話では,夜は,一方で太陽を胎内で保護し成長させる慈しみ深い母神と,他方で朝の到来を妨げるおぞましい悪魔と,相反する二つの面と姿を持つとみなされているわけである。…

※「ウシャス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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