ウグイスカグラ(読み)うぐいすかぐら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウグイスカグラ」の意味・わかりやすい解説

ウグイスカグラ
うぐいすかぐら
[学] Lonicera gracilipes Miq.

スイカズラ科(APG分類:スイカズラ科)の落葉低木。ヤマウグイスカグラともいう。一名ウグイスノキともよばれ、一説にウグイスが鳴き始めるころに花を開くため、この名があるという。高さ1.5~3メートル。葉は対生、徒長枝の葉は大きく、葉柄が耳状となり、向かい合うものと互いに合着して皿状ないし壺(つぼ)状となり、茎がこれを貫くようにみえることがある。花は細い枝の先から下垂し、この属では珍しく、一つ(まれに二つ)ずつつき、3~5月に開く。果実は赤く熟し、甘味があって食べられる。日本特産種で、本州、四国、九州に分布し、山野に多い。全体に腺毛(せんもう)のある変種をミヤマウグイスカグラとよび、山地に生える。同属別種のクロミノウグイスカグラLonicera caerulea var. emphyllocalyxはアイヌ語名ハスカップの名で知られ、本州中部以北の湿原亜高山帯に自生する。果実は青紫色で、栽培もされ、ジャムなどに加工される。

福岡誠行・福田泰二 2021年12月14日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ウグイスカグラ」の意味・わかりやすい解説

ウグイスカグラ
Lonicera gracilipes Miq.

山野に多いスイカズラ科の落葉性低木。観賞用に庭木としても植えられる。別名ウグイスノキとも呼ばれ,ウグイスが鳴き始めるころに花が咲くため,名付けられたとする説がある。高さ1.5~3mで,よく分枝する。葉は対生し,楕円形から広卵形で,その形,大きさ,毛の多少などに変異が多く,変種として区別されることがある。徒長枝の葉は大きく,葉柄が耳状に広がって対生する葉のそれと合着し,つば状となって茎を抱くことがある。花は3~5月に若葉とともに出て,細い柄の先に1個,まれに2個がぶらさがって咲く。花冠は筒状漏斗形,淡紅色,長さ11~15mm,基部に蜜腺があり少しふくれている。子房下位,2室で各室に数個の胚珠がある。果実は液果で6月に美しく赤熟し,広楕円体,長さ約1cm,甘みがあって子どもが食べる。北海道南部,本州,四国,九州に分布する日本固有種。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウグイスカグラ」の意味・わかりやすい解説

ウグイスカグラ
Lonicera gracilipes var. glabra

スイカズラ科の落葉小低木で,北海道南部から九州まで日本のほぼ全域に分布し,山地に生える。幹は高さ1~2mでよく分枝し,長さ3~5cmの広楕円形の葉が短い柄で対生する。葉は全縁で葉の縁はしばしば紅紫色を帯び,裏面は淡緑色である。春に葉柄から細い柄を垂らして,淡紅色の花を2個ずつつける。花冠は長さ 2cm足らずの細長い筒形で,先端だけ5裂して平開し,めしべ1本と5本のおしべがのぞく。花後に長さ 1cmほどの広楕円形の液果を1個生じ,グミのように赤く熟する。この果実に腺毛を密生するものをミヤマウグイスカグラ L. gracilipes var. glandulosaと呼んで変種とする。この変種には果実だけでなく若枝や花柄,葉にも腺毛がみられる。

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百科事典マイペディア 「ウグイスカグラ」の意味・わかりやすい解説

ウグイスカグラ

スイカズラ科の落葉低木。ほとんど日本全土の山野にはえる。葉は対生し,広卵形〜楕円形。葉の縁は,若いとき暗紅紫色を帯びる。4月,葉が出ると同時に,葉腋から細長い花柄をたらし,淡紅色の花をふつう1個つける。花冠は漏斗(ろうと)形で先は5裂し,長さ1.2〜2cm。果実は初夏赤熟し食べられる。庭木にする。

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