ウォーター・クーラー(読み)うぉーたーくーらー(英語表記)water cooler

翻訳|water cooler

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォーター・クーラー」の意味・わかりやすい解説

ウォーター・クーラー
うぉーたーくーらー
water cooler

電気冷蔵庫やルームエアコンと同じように、フロンガスまたは代替フロンによる冷凍サイクルを用い、冷たい飲料水を供給する装置。圧縮機で圧縮した高圧フロンガスなど(つまり冷媒)を放熱器で冷却、液化し、この冷媒を毛細管を経て冷却器に送り気化させるもので、このときの冷媒の気化潜熱によって飲料水を冷やす構造になっている。水道管に直結して使用される水道直結型と、貯水タンクに水を入れて冷却しておく貯水型とがある。水の冷却温度は5~15℃程度に自動調節されている。水道直結型では、内蔵しているタンクで水を冷却しており、水が使用されると自動的にタンクに水が補給されるようになっている。普通、消費電力が200ワット程度の圧縮機が用いられ、冷水供給能力は、温度25℃の水を12℃に冷却し1時間当り約20リットル供給できる。貯水型は12~18リットルのタンクに水を入れて冷却しておくもので、冷却温度、使用圧縮機などは水道直結型と同様である。貯水型のものには、夏期に冷水、冬期などに温水を供給できる冷温兼用型のものがある。兼用型では、温水供給時にタンクの水を600ワット程度の電熱ヒーターで加熱し、温度を80~90℃に自動調節している。

 一般に公共施設、事務所、商店、工場などの多数の人が利用する場所や、飲食店のサービスのために用いられている。なお、地球のオゾン層破壊地球温暖化を招くフロンガスの増大を防ぐため、近年では特定フロンは使用せずに、代替フロンなどを用いる。また、2001年(平成13)「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収・破壊法)」(2013年「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」に改称)が公布され、ウォーター・クーラーを廃棄する場合には、同法に基づき、フロン類の適正な回収と破壊処理の実施等が義務づけられた。

[竹谷康生]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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