ウィンドラス(英語表記)windlass

翻訳|windlass

改訂新版 世界大百科事典 「ウィンドラス」の意味・わかりやすい解説

ウィンドラス
windlass

揚錨(ようびよう)機ともいう。錨を引き上げるための甲板機械で,ふつうは船首の甲板上に設ける。ごく小型の60kgくらいの重量の錨用には手動式もあるが,大型船ではすべて動力式である。錨鎖がはまり込む形状・寸法の鎖溝をもつ巻取車輪を備え,これを歯車で回転させながら巻き揚げ,巻き揚げた錨鎖は錨鎖庫に下ろす。投下の際にはクラッチを外して巻取車輪を空転させ,錨の自重を利用する。またふつう巻取車輪の両軸端には綱巻胴が設けられており,これで係船用の索の巻取りも行われる。揚錨機駆動には電動式,油圧式,汽動式(往復動蒸気機関を動力としたもの)などがあり,一般には電動式,油圧式が用いられるが,タンカーでは電気火花の発生を防ぐため汽動式が用いられることが多い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィンドラス」の意味・わかりやすい解説

ウィンドラス
うぃんどらす
windlass

船首に格納された錨(いかり)を海中に投下したり、投錨(とうびょう)中の錨を揚収するために用いる機械。揚錨機(ようびょうき)ともいう。錨は、錨鎖庫(びょうさこ)(チェーンロッカー)に収納されているアンカーチェーン(錨鎖)と連結しており、チェーンの繰出し、繰込み操作により錨の投下、揚収が行われる。ウィンドラスは水平軸回りに回転するケーブルホルダー(ジプシーホイール)をもっており、これがアンカーチェーンとかみ合い、その回転操作によってチェーンの巻込み、巻出しを行う。この回転駆動は、蒸気圧や電動モーターで行うとともに、錨を投下する場合にはフリーに回転できるようになっている。またウィンドラスの回転軸の両端にワーピングドラムがつけられ、係留索の巻込み、巻出し操作に利用されている。

岩井 聰]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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