ウィット(Otto Nikolaus Witt)(読み)うぃっと(英語表記)Otto Nikolaus Witt

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ウィット(Otto Nikolaus Witt)
うぃっと
Otto Nikolaus Witt
(1853―1915)

ドイツの染料化学者。ロシアのペテルブルグに生まれる。同地で教育を受けたのち、チューリヒ工科大学でウィスリツェヌスコップに化学を学び、1875年、ロンドン近郊の染料会社に勤め、ここでアゾ色素クリソイディンなどを発見、1882年にはドイツのマンハイムの染料会社に転じ、アゾ色素の中間体を発見した。1891年ベルリン工科大学教授(化学技術学)となった。またインドフェノールの研究が有名である。彼は1876年に、染料物質のどのような分子構造が発色に関係あるかに関する学説を提出した。すなわち、色素にはその色を発する原子団があると考え、それを発色団chromophorとよんだ。また、発色団を含む分子(色原体)が染料となるためにはヒドロキシ基-OHやアミノ基-NH2という原子団が必要なので、これを助色団auxochromとよんだ。この学説は、その後の新しい染料の合成に有力な指針を与えた。

[都築洋次郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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