ウィグナー(読み)うぃぐなー(英語表記)Eugene Paul Wigner

精選版 日本国語大辞典 「ウィグナー」の意味・読み・例文・類語

ウィグナー

(Eugene Paul Wigner ユージン=ポール━) ハンガリー生まれのアメリカ物理学者中性子がぶつかりあうことでグラファイト炭素原子変位を起こし、物理的性質が変化する、いわゆるウィグナー効果発見。一九六三年ノーベル物理学賞受賞。(一九〇二‐九五

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デジタル大辞泉 「ウィグナー」の意味・読み・例文・類語

ウィグナー(Eugene Paul Wigner)

[1902~1995]米国の物理学者。ハンガリー生まれで、1930年に渡米原子核素粒子構造研究で、1963年、ノーベル物理学賞受賞。原爆製造計画にも協力

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィグナー」の意味・わかりやすい解説

ウィグナー
うぃぐなー
Eugene Paul Wigner
(1902―1995)

ハンガリー生まれのアメリカの理論物理学者。ドイツのベルリン工科大学に学び、同大学講師、ゲッティンゲン大学講師を経て、1930年アメリカのプリンストン大学講師に就任。1936年ウィスコンシン大学教授、1937年アメリカに帰化、1938年プリンストン大学の理論物理学教授となった。F・ザイツとともに金属の凝集エネルギーの理論(ウィグナー‐ザイツの方法)を提唱。また量子力学群論的取扱いによって波動関数の対称性の問題に注目し、その方法によって原子内電子のスペクトル線、原子核の構造、核力の性質などの解明を行った。1963年「原子核および素粒子の理論における対称性の発見と応用」に対してノーベル物理学賞が与えられた。第二次世界大戦中には、シラード、テラーとともにアメリカの原爆製造計画(マンハッタン計画)に参加し、シカゴ冶金(やきん)研究所の理論物理学部門の部長となり、フェルミらとともに原子炉建設に従事した。第二次世界大戦後、オークリッジ原子力研究所副所長、民間会社の顧問などを務めた。

[小林武信]

『ウィグナー著、森田正人・森田玲子訳『群論と量子力学』(1971/オンデマンド版・2000・吉岡書店)』『E・P・ウィグナー著、岩崎洋一他訳『自然法則と不変性』(1974・ダイヤモンド社)』『岩崎洋一訳「原子核および素粒子の対称性の研究」(ノーベル財団著、中村誠太郎・小沼通二編『ノーベル賞講演 物理学9』所収・1979・講談社)』『H・A・ベーテ、P・A・M・ディラック、W・ハイゼンベルク、E・P・ウィグナー著、青木薫訳『物理学に生きて――巨人たちの思索の軌跡』(1990・吉岡書店/ちくま学芸文庫)』『Paul WignerCollected Works of Eugene Paul Wigner(1992, Springer Verlag, New York)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウィグナー」の意味・わかりやすい解説

ウィグナー
Wigner, Eugene Paul

[生]1902.11.17. ブダペスト
[没]1995.1.1. ニュージャージー,プリンストン
ハンガリー生れのアメリカの理論物理学者。ベルリン工科大学に学び,同大学で教えたのち,1930年アメリカに渡り,プリンストン大学講師,同教授 (1938) 。 36年中性子吸収の理論を打立て原子炉の理論的基礎をおいた。またパリティ保存則,分子や原子核への群論の応用,固体の凝集エネルギーの理論など広範囲にわたる研究を行なった。第2次世界大戦中はシカゴ大学「冶金研究所」で E.フェルミとともに原子炉の開発に従事。 60年原子力平和利用奨励賞,63年ノーベル物理学賞受賞。主著『分散関係とその因果律との結びつき』 Dispersion Relations and Their Connection with Causality (64) 。

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百科事典マイペディア 「ウィグナー」の意味・わかりやすい解説

ウィグナー

米国の理論物理学者。ハンガリー生れ。1930年渡米してプリンストン大学講師となり,1938年教授。研究分野は広く,特に原子,分子,固体,原子核などの量子力学的理論に群論を応用して成功。1938年からは原子爆弾製造計画に参加。1963年H.D.イェンゼン,M.G.メーヤーとともにノーベル物理学賞。

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