精選版 日本国語大辞典 「インバネス」の意味・読み・例文・類語
インバネス
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19世紀の男子洋服コート。袖の代りにケープが付く。名はスコットランドの都市インバネスにちなむもので,幕末に洋服をとり入れた日本でもこれが着用され,その形から鳶(トンビ)と呼ばれた。福沢諭吉が片山淳之助の名で著した《西洋衣食住》(1867)に,〈合羽 マグフエロン 日本ニテ俗ニトンビト云〉とある。このケープ式袖付は和服の上に着られるので,和装防寒コートに利用された。明治初年から,その着用が見られる。大阪の豪商松本重太郎は1870年(明治3)に,心斎橋通りでトンビ商を開いた。明治中期には二重回しとも言い,丈も変化し,黒地から縞物へ,また襟にラッコの毛皮をつけるのも流行した。その後,インバネスは20世紀に入ってからの西欧では日常服に用いず,燕尾服用コートとなった。日本でも洋装には使わず和装のトンビ,二重回しとして残った。
執筆者:中山 千代
イギリス,スコットランド北部にあるハイランド州(旧,インバネス州)の州都。人口5万6557(1981)。モレー湾に注ぐネス川の河口に位置し,またカレドニア運河の入口にもあたるため,ハイランド地方の商業・交通の中心地となっている。海港を有し,羊毛,車両,ウィスキー醸造などの工業も発達する。古代にはピクト人の主都であり,11世紀以降はマクベス城下の王立都市として繁栄した。クロムウェルが建設した要塞も残るが,現在の城は1835年に建設されたものである。夏にはネス湖などへの観光基地としてにぎわう。
執筆者:長谷川 孝治
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