インノケンティウス(1世)(読み)いんのけんてぃうす(英語表記)Innocentius Ⅰ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

インノケンティウス(1世)
いんのけんてぃうす
Innocentius Ⅰ

生没年不詳。イタリア中部アルバーノ出身で、古代における名教皇の一人(在位401~417)。聖人。全教会に対するローマ司教首位権が形成されつつあった時代に在位して、教皇権の拡大を図る。初めて「教令」をもって各地教会の行政、規律を正した教皇シリチウス(在位384~399)の精神を継ぎ、各司教区とおびただしい書簡を取り交わして、地方教会会議の重大問題の最終決定をローマにゆだねるように求めた。またオーク会議で罷免された東方教会の総大司教クリソストモスの上告を擁護し、このため東方教会との不和を生んだ。416年ペラギウスを異端として断罪した教会会議の決定を裁可した。

[磯見辰典]

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