インスリン受容体(読み)インスリンじゅようたい(英語表記)insulin receptor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インスリン受容体」の意味・わかりやすい解説

インスリン受容体
インスリンじゅようたい
insulin receptor

細胞膜上に存在してインスリンと特異的に結合し,細胞のインスリン作用を誘起する蛋白質。インスリン受容体は,最も下等な脊椎動物であるホソヌタウナギからヒトにいたるまで認められている。ヒトでは,肝臓,筋肉,脂肪細胞などインスリン作用が明らかな組織だけでなく,脳,腎臓,繊維芽細胞,赤血球などほとんどの組織に存在する。その構造は,二つのαサブユニット,βサブユニットがジスルフィド結合したかたち (αβ)2 で存在し,βサブユニットは細胞膜を貫通し,キナーゼ活性をもつ。インスリンと結合することによりこのキナーゼ活性が誘起され,細胞内にシグナルを伝達する。インスリンと結合した受容体は細胞内に取り込まれて分解され,新しく合成された受容体に置き換わる。この合成と分解とによって細胞膜上の受容体の数は一定に調節されている。ただし一時的に血中のインスリン濃度が高くなった場合には,インスリン受容体の数は減少する。ヒトインスリン受容体の cDNAクローニングに成功したことにより,そのシグナル伝達に関する研究が進められている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「インスリン受容体」の解説

インスリン受容体

 →インスリンレセプター

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android