イルマン(読み)いるまん(英語表記)irmão

精選版 日本国語大辞典 「イルマン」の意味・読み・例文・類語

イルマン

〘名〙 (irmão 一般には「兄弟」、宗教的には「法兄弟」の意) 一六~一七世紀の頃日本に渡来したキリスト教宣教師の一階級。パードレバテレン)の下にある助修士。平修士。
※貴理師端往来(1568頃)「十七日可御説法之由入万(いるマン)類子(ルイス)より被仰付候」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イルマン」の意味・わかりやすい解説

イルマン
いるまん
irmão

カトリック教会修道士。キリシタン時代(16世紀中期~17世紀中期)にはそれをポルトガル語でイルマン(兄弟)と称した。正しくはイルモンとかイルマンウに近い音だが、日本人は「伊留満」の字をあてた。従順、貞潔清貧の三誓願をたてて修道院で共同生活をする男子の総称で、そのうち多くの人が司祭、すなわちバテレン(伴天連神父を意味するポルトガル語のパードレが転訛(てんか)したもの)の位にあげられた。1591年(天正19)を例にとると、在日イエズス会員は142人で、そのうち約3分の2がイルマンであった。

松田毅一

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改訂新版 世界大百科事典 「イルマン」の意味・わかりやすい解説

イルマン
irmão[ポルトガル]

伊留満,入満とも書く。〈神弟〉〈兄弟〉を意味するキリシタン用語。イエズス会の修道者のうち,司祭職にある者をパードレpadreといい,パードレを補佐する者をイルマンといった。キリシタン時代,イルマンを経てパードレに叙階されるのがふつうであった。また,信者の協働組織であるコンフラリアconfraria(組,講)の構成員もイルマンといった。
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