イリジウム[通信](読み)イリジウム[つうしん]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イリジウム[通信]」の意味・わかりやすい解説

イリジウム[通信]
イリジウム[つうしん]

アメリカ合衆国モトローラが中心となって推進した地球的規模の移動体通信網。66個の通信衛星を結んだ低軌道周回衛星通信で,衛星携帯電話を使って世界中のどこからでも通信ができることをうたった。初め 77個の衛星を計画,原子番号 77の元素イリジウムであることからイリジウム計画と名づけられた。アメリカでは 1998年からモトローラの関連会社イリジウム社がサービスを始め,日本では 1999年日本イリジウムによりサービスが開始された。しかし地上波系の携帯電話に比べて端末が重く,1台 30~40万円と高額であったことと,携帯電話加入者数が飛躍的に増加したため,衛星電話サービスの利用者数は当初見込みを大幅に下回る結果となり,2000年3月事業そのものが破綻,サービスは廃止された。その後,アメリカではイリジウムサテライト(のちイリジウムコミュニケーションズに名称変更)が事業を引き継ぎ,2001年サービスを再開。2007年には次世代衛星通信ネットワーク計画であるイリジウムネクストを発表した。日本では KDDI(→ケイディディ)が 2005年にサービスを開始した。

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