イラン砂漠(読み)いらんさばく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イラン砂漠」の意味・わかりやすい解説

イラン砂漠
いらんさばく

イランのアルボルズ(エルブルズ)、ザーグロス両山脈から東へ、アフガニスタン南部を経て、パキスタンの南西部に位置する中央マクラーン山脈の西麓(せいろく)まで広がる砂漠。面積39万平方キロメートル。中央マクラーン山脈から東側はタール砂漠である。イラン砂漠は、標高1000~2000メートルの山脈で区切られた大小さまざまな盆地の地形で、標高はいずれも約500メートルである。それらのうち規模が大きい砂漠は、広い範囲が塩砂漠である北部のカビール砂漠と、礫(れき)砂漠と砂砂漠が大部分を占める南部のルート砂漠である。夏は高温となり50℃を超すこともあるが、冬にはしばしば0℃以下となり、気温変化の大きい砂漠である。年降水量は南東部で200ミリメートルに達するが、他の地域では100ミリメートル程度である。山地には地形性の雨や雪が降り、山麓に発達する扇状地に地下水となって流入している。この地下水は古くからカナート(フォガラ)とよばれる地下水路で利用されてきた。イランでは数万本のカナートが利用されていたが、動力による深井戸が開発されるとともに、放棄されるカナートが増えてきた。

[赤木祥彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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