イミル(読み)いみる(英語表記)Ymir

翻訳|Ymir

デジタル大辞泉 「イミル」の意味・読み・例文・類語

イミル(Ymir)

ユミル

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イミル」の意味・わかりやすい解説

イミル
いみる
Ymir

北欧神話の巨人の祖。『エッダ』によると、太古に霜と熱風がぶつかって生じた滴(しずく)が生命を得、イミルになった。牝牛(めうし)アウズフムラの乳を飲んで生きるイミルは、巨人ボルの息子たちであるオーディン、ビリ、ベーらによって殺され、その身体からは大地、血からは海と湖、そして骨からは岩がそれぞれつくられた。さらに頭蓋骨(ずがいこつ)からは天が、まつげからは砦(とりで)ミドガルドがつくられ、脳みそは空中に投げられて雲となった。しかしイミルが倒れると、傷口から流れ出たおびただしい血によって霜の巨人族は残らず溺(おぼ)れ死に、ベルゲルミルという巨人とその妻だけが挽臼(ひきうす)の台に登って助かる。新しい霜の巨人族はこの2人から由来したという。

[谷口幸男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イミル」の意味・わかりやすい解説

イミル
Ymir

北欧神話の霜の巨人族の始祖。太古にムスペルヘイムから吹いてくる熱風と,ニフルヘイムから流れてくる氷塊の衝突によって生じたしずくから化生し,巨大な雌牛アウズフムラの乳によって養われていたが,オーディン,ビリ,ベの3神に殺され,その死体から世界が創造された。彼の肉から大地が,血から海が,骨から岩石が,髪の毛から樹木が,頭蓋から天が,脳から雲がつくられたという。このとき,彼の寝汗から生れた巨人の夫婦を先祖とする霜の巨人たちはイミルの血の海の中で溺死したが,ただベルゲルミルだけが妻とともに生残り,現在の霜の巨人族の祖先となったという。

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