イベール(英語表記)Jacques Ibert

精選版 日本国語大辞典 「イベール」の意味・読み・例文・類語

イベール

(Jacques Ibert ジャック━) フランスの作曲家。二〇世紀中頃に活躍印象主義新古典主義の諸要素を結合した作品を残す。管弦楽曲寄港地」など。(一八九〇‐一九六二

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デジタル大辞泉 「イベール」の意味・読み・例文・類語

イベール(Jacques Ibert)

[1890~1962]フランスの作曲家。パリの生まれ。古典主義的な作風は、同時に洗練された機知に富む。管弦楽曲「寄港地」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「イベール」の意味・わかりやすい解説

イベール
Jacques Ibert
生没年:1890-1962

フランスの作曲家。パリ音楽院で学び,1919年カンタータ《詩人妖精》でローマ大賞をうける。オネゲル,ミヨーと音楽院で僚友だった秀才だが,20世紀の音楽の歴史の曲り角にあって彼らとアカデミズムへの反逆をともにせず,継承をえらんで,伝統に即しながら新しい感覚をもりこんでゆこうとする折衷的な作風を採った。そしてときに耳を刺すきしむ響きもまじえながら,総体としては機知にとみ,〈フランス的明晰〉と優雅さ,良趣味の尊重をしめす作品の数々を生んだ。いかにもラベル後の世代の俊秀とよぶにふさわしい彼であったが,その音楽の根底にみとめられるアカデミズムは,ローマのメディチ荘館長(1936-40,1946-60),国立歌劇場連合総裁(1955-56),アカデミー会員(1956)といった公的な要職を占めるにいたったことと,無関係ではないだろう。交響的組曲《寄港地》,ピアノ組曲《物語》(ともに1922),喜遊曲(1931),フルート協奏曲(1932-34)あたりが日本でよく知られた作品だが,ピアノの小曲から大規模なオペラまで多くのジャンルを手がけている。
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百科事典マイペディア 「イベール」の意味・わかりやすい解説

イベール

フランスの作曲家。パリに生まれ,パリ音楽院に学ぶ。第1次世界大戦に海軍士官として従軍後同校に復学し,1919年カンタータ《詩人と妖精》でローマ大賞受賞。ローマ留学中に交響的組曲《寄港地》(1922年)を発表し,作曲家としての地歩を固めた。以後も,フランス近代音楽の伝統に即した手堅い作風を守り,ウィットに富む洗練された作品を発表。代表作に,ピアノ組曲《物語》(1922年),室内管弦楽のための《ディベルティメント》(1931年),モイーズに献呈された《フルート協奏曲》(1932年―1934年),《弦楽四重奏曲》(1944年)などがあり,映画音楽にも才気をみせた。第2次大戦後パリのオペラ座総監督などを務め,1956年アカデミー会員となる。
→関連項目フランセミヨー

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イベール」の意味・わかりやすい解説

イベール
いべーる
Jacques Ibert
(1890―1962)

フランスの作曲家。パリに生まれ、同地に没す。パリ音楽院に入学し、作曲をビダルに師事。1919年ローマ大賞受賞。その後作曲家として活躍するとともに、ローマのアカデミー・ド・フランスの館長(1937~60)を務め、第二次世界大戦後には国立オペラ劇場連合のための総監督などを歴任。56年にアカデミー会員に選出された。彼は鋭い感覚と自由な想像力を駆使して、ユーモアと風刺、あるいは気品と知性にあふれた多くの作品を書いた。代表作には交響組曲『寄港地』(1924初演)、オペラ『アンジェリク』(1927初演)、ピアノ組曲『物語』(1917)などがある。

[寺田兼文]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イベール」の意味・わかりやすい解説

イベール
Ibert, Jacques

[生]1890.8.15. パリ
[没]1962.2.5. パリ
フランスの作曲家。 1911年パリ音楽院に入学,第1次世界大戦勃発により海軍士官を志願,戦後 19年ローマ大賞を獲得。「六人組」と呼ばれる現代フランス音楽の作曲家と同時代に属し,色彩的な管弦楽,入念な作曲法,才気あふれた作品は,パリジャン特有の世界をつくりだしている。 37年ローマのフランス・アカデミー館長。作品は,交響組曲『寄港地』 (1922) ,『フルート協奏曲』 (34) ,ピアノ曲『物語』ほか多数。

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「イベール」の解説

イベール

20世紀前半に活躍したフランスの作曲家。音楽に造詣の深い両親の元に生まれ、4歳からピアノを始めた。スペインの作曲家マニュエル・デ・ファリャ(1876年生まれ)とは従兄弟にあたる。12歳頃から作曲の勉 ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

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