日本大百科全書(ニッポニカ) 「イプシランディス(弟)」の意味・わかりやすい解説
イプシランディス(弟)
いぷしらんでぃす
Dimitrios Ypsilantis
(1793―1832)
ギリシア独立運動の志士。モルダビア、ワラキア両公国で反乱決起した「友愛会」(フィリキ・エテリア)総裁の兄アレクサンドロスによって、1821年4月、革命軍全権総代としてギリシア本土のモレア(ペロポネソス半島)に派遣された。途中モレアの反乱蜂起(ほうき)の事実を知って急行したが、ペロポネソス長老会を構成する豪族層の激しい抵抗にあい、民衆やカペタニオス層の熱い支持にもかかわらず、自分を総帥とする統一的指揮体制を確立することに失敗した。
エピダウロスに招集した第1回国民議会(1821年末~22年初)においても、彼は指導力を振るえず、引退を余儀なくされた。
[馬場恵二]