世界大百科事典 第2版
「イブン・ハンバル」の意味・わかりやすい解説
イブン・ハンバル【Ibn Ḥanbal】
780‐855
イスラムの法学者。スンナ派四法学派の一つハンバル派の祖。神学者,ハディース学者としても有名。アッバース朝創成時の軍隊の主力であったホラーサーン軍団の家に,バグダードで生まれる。そこで学び,イスラム世界を広く遊学し,ハディース学者として著名となった後,ムータジラ派の教義を承認せず厳しい迫害を受けた。彼の迫害に対する抵抗がムータジラ派の崩壊を導いた。主著はハディース集《ムスナド》。【後藤 晃】
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世界大百科事典内のイブン・ハンバルの言及
【ハディース】より
…ハディースの徒が発達させたハディース批判の学は,イスナードの信憑性の吟味に終始し,そのために膨大な伝記集(タバカート)のつくられたことが,イスラム史学の一つの著しい特徴となっている。 初期の代表的なハディース集に,マーリク・ブン・アナスの《ムワッター》と,イブン・ハンバルの《ムスナド》がある。前者は婚姻,契約,ハッドなどの項目ごとにハディースを分類し,イスラム法の概要を述べるとともに,カーディーなどの裁判実務にも役立つよう編集され,このような形式をムサンナフという。…
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