イブン・バーッジャ(読み)いぶんばーっじゃ(英語表記)Abū Bakr Muammad ibn Yayā al-ā'igh ibn Bājja

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イブン・バーッジャ」の意味・わかりやすい解説

イブン・バーッジャ
いぶんばーっじゃ
Abū Bakr Muammad ibn Yayā al-ā'igh ibn Bājja
(?―1138)

イスラム哲学者。ラテン名はアベンパケAvempace。スペインサラゴサに生まれる。ムラービト朝宰相として活躍し、政務のかたわらアリストテレス哲学を研究する。人間理性を重視し、霊魂完成には哲学が不可欠であると説く。哲学的認識を高めていくことで霊魂は純化し、純粋知性の認識が可能となり、人間の最高の幸福が実現するという。彼の主知主義的傾向はイスラム教徒大衆の反感を買い、ついには政敵謀略に陥り、毒殺されたという。

[松本耿郎 2016年10月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イブン・バーッジャ」の意味・わかりやすい解説

イブン・バーッジャ
Ibn Bājjah

[生]1095頃.スペイン,サラゴサ
[没]1139.5. モロッコフェス
イスラム時代スペインの哲学者,政治家。ラテン名は Avempace。アリストテレスの理論をよりどころとして合理主義的な哲学思想を展開したが,コーランやイスラムの信条を否定する無神論と非難され,フェスで毒殺された。多く論文を書いたが,そのほとんどは現存していない。

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