日本大百科全書(ニッポニカ) 「イブン・バーッジャ」の意味・わかりやすい解説
イブン・バーッジャ
いぶんばーっじゃ
Abū Bakr Muammad ibn Yayā al-ā'igh ibn Bājja
(?―1138)
イスラム哲学者。ラテン名はアベンパケAvempace。スペインのサラゴサに生まれる。ムラービト朝の宰相として活躍し、政務のかたわらアリストテレス哲学を研究する。人間理性を重視し、霊魂の完成には哲学が不可欠であると説く。哲学的認識を高めていくことで霊魂は純化し、純粋知性の認識が可能となり、人間の最高の幸福が実現するという。彼の主知主義的傾向はイスラム教徒大衆の反感を買い、ついには政敵の謀略に陥り、毒殺されたという。
[松本耿郎 2016年10月19日]
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