イドラ(英語表記)idola

デジタル大辞泉 「イドラ」の意味・読み・例文・類語

イドラ(Hydra/Ύδρα)

ギリシャ南部、サロニコス湾アルゴリコス湾の間に浮かぶイドラ島北部にある港町同島玄関口。後期ビザンチン様式の聖母マリア修道院があるほか、18世紀から19世紀にかけて海運で富を得た船主たちが建てた邸宅が並ぶ。

イドラ(〈ラテン〉idola)

幻像の意》フランシス=ベーコン用語。正しい認識を妨げる偏見先入観

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精選版 日本国語大辞典 「イドラ」の意味・読み・例文・類語

イドラ

〘名〙 (idola 幻影の意) 事物の正しい認識を妨げる先入見や偏見をいう、フランシス=ベーコンの用語。偶像と訳されることもあるが正しくない。
※近代文章史と写生文(1936)〈唐木順三〉「転換期には〈略〉言葉のイドーラを破壊しようとする運動が起るのが通例である」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イドラ」の意味・わかりやすい解説

イドラ
idola

偶像。 (1) 神を象徴するものとして信仰礼拝対象としてつくられた像。聖書では偶像礼拝は禁じられており,異教の神々はすべて偶像であるとして預言者たちにより激しく攻撃された。 (2) F.ベーコンの用語。経験の正確な観察のために排除すべき先入見として4つの偶像,種族のイドラ,洞窟のイドラ,市場のイドラ,劇場のイドラ,をあげている。

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世界大百科事典(旧版)内のイドラの言及

【偶像】より

…この意味では神像や仏像と同じであるが,とくに〈偶像〉という場合には,真のものではない別の姿ないし中間に介在するものという意味合いを含んでいる。哲学用語としては姿とか像を意味するラテン語のイドラidola(単数形idolum,英語のアイドルidolの語源)の訳語であるが,ルネサンス期にG.ブルーノが本当のものを見えなくさせる先入見の意味でこの語を用い,ついでF.ベーコンが〈人間の知性をとりこにしている偶像〉を分析して,人類なるがゆえに人間本性にひそむものを〈種族の偶像idola tribus〉,個人のもつ先入見を〈洞窟の偶像idola specus〉,社会生活から起こる偏見を〈市場の偶像idola fori〉,学説から生じるものを〈劇場の偶像idola theatri〉と名付け,ありのままの認識が困難であることを示した。とくに生得的な偶像は取り除くことができないとベーコンは言っている。…

【ノウム・オルガヌム】より

…原文はラテン語で,アフォリズムの形で〈自然を解明し,知性をいっそう確かに働かせる技術そのもの〉を記している。その第1巻は〈破壊の部門〉で人間の理性や論証や既成の学説の批判にあてられ,有名なイドラの論もここに出てくる。イドラは人間の知性を占領しゆがめるものとして批判されるが,そのことを自覚することの重要性を主張したのであって除去せよといったのではない。…

※「イドラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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