イタチシダ(読み)いたちしだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イタチシダ」の意味・わかりやすい解説

イタチシダ
いたちしだ / 鼬羊歯

オシダ科オシダ属の常緑性多年生シダの一群をいう。ヤマイタチシダ、オオイタチシダ、イワイタチシダ、ナンカイイタチシダなどの総称。非常に多形で、前葉体から配偶子をつくらず、直接、胞子体を生ずる無配生殖で増殖。根茎はやや太く斜上し、葉を束生する。葉は2~3回羽状に分裂し、最下羽片は下側の広い三角形になる。胞子嚢(ほうしのう)群は丸く、包膜は円腎(えんじん)形。葉柄には褐色ないし黒色の鱗片(りんぺん)が密生する。中軸や羽軸には普通小さな袋状鱗片がある。ヤマイタチシダDryopteris bissetianaは葉が40~70センチメートル、深緑色で柔らかい革質。オオイタチシダD. pacificaは葉が1メートル以上になり、堅い紙質で、表面に光沢がある。ともに本州、四国、九州の山地に広く分布する。

[西田治文]


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