イソシアニド錯体(読み)イソシアニドサクタイ

化学辞典 第2版 「イソシアニド錯体」の解説

イソシアニド錯体
イソシアニドサクタイ
isocyanide complex

イソシアン化物錯体,イソニトリル錯体(isonitrile complex)ともいう.配位子としてイソシアニド(RNC,またはイソニトリル)をもつ錯体の総称.イソシアニドはCOと等電子的な共鳴混成体をなしている.

炭素孤立電子対は電子供与体として作用し,CNの反結合性軌道は電子受容体として作用するので,COと同様に低原子価金属錯体をつくることのできる配位子である.イソシアニド配位錯体は数多く合成されており,シアノ錯体の直接アルキル化による方法,

あるいは,イソシアニド錯体を適当なハロゲン化アルキルで処理することにより,アルキル基を相互に交換して合成する.

[Fe(CNCH3)6]Br2 + C6H5CH2Br →

[Fe(CN)2(CNCH2C6H5)4] + [Fe(CN)(CNCH2C6H5)5]Br

また,カルボニル錯体の配位子交換で得ることもできる.

[Cr(CO)6] + 6CNC6H5 → [Cr(CNC6H5)6] + 6CO

[Ni(CO)4] + 4CNC6H5 → [Ni(CNC6H5)4] + 4CO

なお,[Cr(CNC6H5)6]はヘキサキス(イソシアン化フェニル)クロム(0)(hexakis(isocyanobenzene)chronium)という.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android