イソギンチャクモドキ(読み)いそぎんちゃくもどき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イソギンチャクモドキ」の意味・わかりやすい解説

イソギンチャクモドキ
いそぎんちゃくもどき / 擬菟葵

腔腸(こうちょう)動物門花虫綱六放サンゴ亜綱ホネナシサンゴ目イソギンチャクモドキ科Actinodiscidaeに属する海産動物の総称外見はイソギンチャクによく似ており、かつては同類とされた。とくに2枚の隔膜の間から複数の触手を出すことでハタゴイソギンチャク類と混同されていたが、足盤筋がなく、隔膜糸に繊毛帯を欠くことでイソギンチャク類と区別される。足盤筋がないため足部は基質に固着し、きれいにはがすことはできない。暖海サンゴ礁に分布する。

 この科の1種ローダクチス・ホーウェシーRhodactis howesiiは、インド洋および西太平洋のサンゴ礁に広く分布し、南洋諸島ではこれを好んで煮て食べる。しかし毒性があるので生食や煮方が不足すると中毒をおこして死亡する。毒性はタンパク質様物質で、体のどの部位に含まれているかは不明。65℃以上に加熱すると分解して毒性を失う。

[内田紘臣]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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