イギリス社会学(読み)イギリスしゃかいがく(英語表記)English sociology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イギリス社会学」の意味・わかりやすい解説

イギリス社会学
イギリスしゃかいがく
English sociology

イギリスにおいては,観念主義よりも経験主義が伝統的であったため,社会学の分野では社会哲学の傾向が強かった。 J.S.ミルにその方法的基礎づけを与えられたイギリス社会学は,社会進化論の立場を取る H.スペンサーによって体系づけられた。 20世紀に入ると,心理学的社会学の立場を取る L.T.ホブハウスが『社会学評論』 Sociological Review (1908) を創刊し,イギリス社会学の発展のために力を尽した。彼の死後,M.ギンズバーグがその学統を受継いだ。しかし,社会学史総体からみれば,イギリスの土壌では社会学は独自の発展をみず,むしろ B.K.マリノフスキーや A.R.ラドクリフ=ブラウンなどの社会人類学の分野で,現代社会の実証的研究の成果があげられている。『イギリス社会学雑誌』が 1950年に創刊されており,『社会学評論』も 53年から新シリーズになっている。教育社会学,特に社会的成層と教育の問題や産業社会学において注目すべき研究がふえた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android