アーリア語(読み)あーりあご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーリア語」の意味・わかりやすい解説

アーリア語
あーりあご

19世紀にはインド・ヨーロッパ語の総称として用いられたが、現在はそのなかのインド・イラン語族の言語をさす。インドとイラン両語派の古い層は、英語とドイツ語の関係よりさらに近く、先史時代には一つの語派をなしていたと考えられる。その話し手は、自分たちをアーリア(古インド語ārya-、アベスタ語airya-、古ペルシア語ariya-)人と称していた。これは本来彼らに征服された非アーリア人である奴隷階級との対比において用いられたことばである。インドではのちに「高貴な」を意味し、イランでは「イラン」という名称の起源になっている。イラン・アーリア語という名称はないが、インド大陸のインド・ヨーロッパ系の言語は、古、中、現代インド・アーリア語とよばれる。インドではドラビダムンダなど異なる語族の言語が共存しているからである。ヒンディー、ウルドゥー・ベンガリー、パンジャービーなどのほか、ロマ(かつてはジプシーとよばれた)の言語もこれに属する。

[風間喜代三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アーリア語」の意味・わかりやすい解説

アーリア語
アーリアご
Aryan languages

広くはインド=ヨーロッパ語族,狭くはそのなかのインド=イラン語派をさす。アーリア āryá-はサンスクリット語で「高貴な」の意味。現在はこの用語は用いられない。

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