アーリアブハタ(読み)あーりあぶはた(英語表記)Āryabhata

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーリアブハタ」の意味・わかりやすい解説

アーリアブハタ
あーりあぶはた
Āryabhata
(475―553)

インドの数学者、天文学者。10世紀に活躍した同名の科学者と区別してアーリアブハタ1世ともよぶ。インド東部パータリプトラ(現、パトナ)近くの生まれ。499年、天文学と数学とに関する韻文の『アーリアバティーヤ』Âryabhaīyaを著した。この書の初めの3章は天文学、球面三角法を、第4章は算術、代数、平面三角法を扱っている。そのなかで彼は、等差数列、等比数列を扱い、たとえば等差数列の初項、公差、和を知って項数を求めるという二次方程式の解法に帰着する問題を扱っている。ただし負根は認めていない。また「二つの天体の速さと、その間の距離を知って、その出合う時刻を求める」という問題は旅人算起源となった。彼はこの惑星の合(ごう)を決定する必要から、一次の不定方程式を研究し、その一般解を求めた。また自然数の平方の和、立方の和の公式を導き、平方根、立方根の計算法を導いた。直角を24等分して、おのおのの角に対する正弦の値を計算し、さらにπ(パイ)の値を3.1416と計算した。地球の自転も唱えている。

武藤 徹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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