アームストロング(Edwin Howard Armstrong)(読み)あーむすとろんぐ(英語表記)Edwin Howard Armstrong

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アームストロング(Edwin Howard Armstrong)
あーむすとろんぐ
Edwin Howard Armstrong
(1890―1954)

アメリカの電気工学者。ニューヨーク生まれ。コロンビア大学在学中、ピューピンの指導を受け、無線技術を研究、1914年三極管を用いた負フィードバック回路を考案した。この発明をめぐってド・フォレストと無線技術史上有数の激烈な特許紛争に巻き込まれ、一度は勝ったが最高裁判所判決(1928)で敗れた。第一次世界大戦中は陸軍通信隊将校としてフランスで無線通信を研究、短波増幅の目的で発明したスーパーヘテロダイン回路はラジオ受信器の感度と安定性を著しく高めた。大戦後帰国し、1921年には超再生受信法を考案、RCA社(1985年ゼネラル・エレクトリック社が買収)に特許を売却、関連する特許で富をなした。1939年には画期的な周波数変調方式(FM)を発明したが、アメリカのラジオ産業界はFM導入を拒否、加えて連邦通信局の政策や第二次世界大戦などのためFMの普及は遅れた。一方、RCA社との特許侵害の訴訟もあり、疲労困憊(こんぱい)し、貧困状態で自殺した。1934年コロンビア大学教授についたほか、エジソン賞などを受賞、獲得特許は42件に及んだ。

[木本忠昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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