改訂新版 世界大百科事典 「アンナ」の意味・わかりやすい解説
アンナ
Anna
マリアの母。その名は聖書には記されていないが,外典(ヤコブの原福音書)に,老夫ヨアキムJoachimとの間に神から一人娘マリアを授けられる物語が語られている。別々に子どもの誕生を告げられたヨアキムとアンナが金門で出会い,抱き合う場面は,マリアの受胎の瞬間を表すものとみなされ,聖母伝や救済の歴史中にしばしば取り上げられる。緑のマントと赤い服をつけた老婦人として表現され,幼いマリア(長衣によって幼子イエスと区別される)を抱くか,娘となったマリアに教育を施している。イエスを加えて三位一体の形をとった表現には,マサッチョとレオナルド・ダ・ビンチらの作例がある。祝日は,ヨアキムとともに7月26日。
執筆者:荒木 成子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報