日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アントニウス(カトリック聖人)
あんとにうす
Antonius
(1195―1231)
フランシスコ修道会士、カトリックの聖人。ポルトガルのリスボンに生まれたが、イタリアのパドバで死亡、いまもそこに遺体があるため、「パドバのアントニウス」とよばれている。「奇跡の聖人」と称されるほど、多くの奇跡を行ったと伝えられている。初めアフリカに渡って宣教に従事し、殉教者となることを望んだが、健康上の理由からヨーロッパに戻り、イタリアで隠遁(いんとん)の生活を送ったのち、晩年には優れた説教を行って、民衆から名声を博した。魚や鳥に説教している有名な絵があるように、その説教には非凡な魅力と非常な迫力があったものと考えられている。
[大谷啓治 2017年11月17日]