アントシアニジン

化学辞典 第2版 「アントシアニジン」の解説

アントシアニジン
アントシアニジン
anthocyanidin

アントシアニン(配糖体)を加水分解して得られる有色化合物で,20数種類が知られているが,すべて3,5,7-トリヒドロキシ-2-フェニルベンゾピリリウム骨格をもつ.フェニル基におけるヒドロキシ基置換の形式によって,3種類の型がある.(1)ペラルゴニジン型(4′-OH),(2)シアニジン型(3′,4′-OH),(3)デルフィニジン型(3′,4′,5′-OH).これらは塩酸塩の形で安定した結晶として得られ,その色は赤褐色または黒紫色であるが,アルコール溶液は鮮紅色または紫赤色を呈する.水,塩酸などに難溶,エタノール,メタノールアミルアルコールなどに易溶,エーテル,石油エーテルアセトンベンゼンなどに不溶.溶液は酸性で赤,中性で紫,アルカリ性で不安定な青色を呈する(可逆的).塩化鉄(Ⅲ)と複塩をつくり,深青色を呈する.配糖体であるアントシアニンでは,糖残基は3位または3,5位についている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「アントシアニジン」の解説

アントシアニジン

 アントシアニンを加水分解して得られる色素で,フラボノイドの一種.アントシアニンのアグリコン

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアントシアニジンの言及

【アントシアン】より

…マーカートL.C.Marquartがヤグルマギクの花の青い色素をギリシア語の花anthosと青いkyanosを表す言葉からアントシアンと名付けたのに始まる(1835)。この一群の色素はほとんどすべて配糖体として存在し,色素の本体であるアグリコン部分はアントシアニジンanthocyanidin,その配糖体をアントシアニンanthocyanin,また両者をとくに区別しないときにアントシアンと呼んでいる。その構造の決定はドイツの化学者ウィルシュテッターR.Willstätterの研究に負うところが大きくヤグルマギクからシアニンcyanin,さらにペラルゴンpelargon,デルフィニンdel‐phininが分離された。…

※「アントシアニジン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android