日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンティオコス(4世)」の意味・わかりやすい解説
アンティオコス(4世)
あんてぃおこす
Antiochos Ⅳ
(前215ころ―前163)
シリア王国、セレウコス朝の王(在位前175~前163)。アンティオコス3世の三男。紀元前170年から前168年にかけてエジプト征服を試みたが、ローマの介入によって失敗した。ユダヤに対しては前163年にエルサレムに守備隊を置き、ギリシア文化の導入を図るなどして支配強化に乗り出したが、ユダヤ教徒の反発を招き、独立運動に火をつけた(マカベア戦争)。パルティアの勢力拡大を抑えるため東方に遠征したが、イスファハーンで死去した。彼は都市化政策を推進し、ギリシア・ローマ文化を奨励して、自らゼウスの顕現(エピファネス)と称し、神政による領土内諸民族の統一を図った。
[小川英雄]