アレルギー性鼻炎(読み)アレルギーセイビエン

デジタル大辞泉 「アレルギー性鼻炎」の意味・読み・例文・類語

アレルギーせい‐びえん【アレルギー性鼻炎】

アレルギーによって起こる急性鼻炎。ちりや花粉を吸い込んだときに起こり、くしゃみや鼻水が出る。

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六訂版 家庭医学大全科 「アレルギー性鼻炎」の解説

アレルギー性鼻炎
アレルギーせいびえん
Allergic rhinitis
(鼻の病気)

どんな病気か

 抗原と抗体が鼻の粘膜で反応して、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりを起こすのがアレルギー性鼻炎です。アレルギー反応(Ⅰ型)で起こる病気には、ほかに気管支喘息(きかんしぜんそく)アトピー性皮膚炎アレルギー性結膜炎(けつまくえん)などがあります。これらアレルギー性の病気はしばしば同時に起こります。

原因は何か

 原因になる物質(抗原)にはいろいろな種類があり、主なものとしてはハウスダスト(ダニなどの家のほこり)、スギ花粉、イネ科花粉、ブタクサ花粉、真菌(カビ)、ペットとして飼っているイヌやネコの毛があります。

 これらの抗原は、息を吸うと鼻のなかに入り(吸入抗原)、鼻の粘膜にある抗体と出合いアレルギー反応(Ⅰ型)を起こします。抗体はIgE抗体と呼ばれ、アトピー体質のある人の体内でつくられます。このIgE抗体は、鼻の粘膜で肥満細胞(ひまんさいぼう)という細胞と強く結びつく性質をもっています。

 アトピー体質のある人が、各種吸入抗原を吸うと抗原抗体反応が鼻の粘膜で起こり、肥満細胞からヒスタミンなどの物質が放出されます。放出されたヒスタミンなどの物質は、鼻の粘膜を刺激してくしゃみ、鼻みず、鼻づまり、鼻のかゆみを起こします。したがってスギ花粉症もアレルギー性鼻炎に属します。大気汚染や食生活の変化によりアレルギー性鼻炎は増えています。

症状の現れ方

 ハウスダスト(ダニなど)とスギ花粉によるアレルギー性鼻炎の患者さんが最も多くなっています。家のほこりによるアレルギー性鼻炎の特徴は、一年中くしゃみ、鼻みず、鼻づまりが続くことです(通年性アレルギー性鼻炎)。鼻づまりが強く、くしゃみや鼻みずを感じない場合や、くしゃみと鼻みずが強く、鼻づまりを感じない場合などがあります。

 くしゃみは発作性に起こることが多く、一度起こると何度も続けて出ます。ハウスダストのアレルギー性鼻炎の患者さんは、しばしば気管支喘息アトピー性皮膚炎を併せもっています。

 スギ花粉症の特徴は、毎年2~4月(スギ花粉が飛ぶ季節)にかけてくしゃみ、鼻水、鼻づまりを起こします(季節性アレルギー性鼻炎)。スギ花粉が飛ばない季節に鼻症状はありません。アレルギー性結膜炎をいっしょにもっている人が多く、鼻症状以外に目のかゆみが強く起きます。

検査と診断

 アレルギー性鼻炎の診断には、鼻みずのなかにアレルギーの細胞(好酸球(こうさんきゅう))があるかどうか、抗原を皮膚に注射してアレルギー反応(Ⅰ型)が起こるかどうかをみる皮膚反応、血液中のIgE抗体の測定、抗原を鼻に入れてアレルギー反応(Ⅰ型)が起こるかどうかをみる鼻誘発テストが行われます。

 まぎらわしい病気にかぜがあります。アレルギー性鼻炎には鼻のかゆみがあり、またかぜの場合に出る黄色や緑色の鼻汁(びじゅう)でなく、水性の鼻みずが出る特徴があります。かぜの場合には、アレルギー性鼻炎で行われる検査はすべて陰性です。

治療の方法

 抗原が鼻のなかに入らないようにすることが症状を改善するうえで最も有効です。ハウスダスト(ダニなど)はふとん、じゅうたん、畳に多いのですが、丹念に掃除機などで取り除くことにより、鼻症状はある程度改善されます。またスギ花粉のないところに住めば症状は出なくなります。

 しかし実際は、掃除してもすぐにほこりはたまりますし、スギ花粉の飛ばないところに住むことも困難です。したがって、減感作療法(げんかんさりょうほう)(特異的免疫療法)という体質改善の治療と抗アレルギー薬で症状を抑える治療が主に行われています。鼻アレルギー診療ガイドライン(2009年版)に、通年性アレルギー(ハウスダスト)性鼻炎と花粉症の治療法の選択基準が示されています(表3表4)。

 花粉症では、飛散する前から薬物を予防的に投与し、症状発現を遅らせ、花粉飛散期の症状を軽くする初期療法がすすめられています。

 減感作療法とは、抗原からの抽出物を少量から投与する方法で、現在では根治治療に最も近く、治療終了後にも症状の改善が持続します。この点で、症状を抑える抗アレルギー薬と異なります。

病気に気づいたらどうする

 原因がハウスダスト(ダニなど)の場合には、家のなかを掃除し清潔にすることが重要です。スギ花粉症の場合には、工夫されたマスクやメガネが市販されています。

 これらのことを行っても鼻症状があり、生活に支障がある場合には耳鼻咽喉科を受診します。どのような症状がどの程度あるか、原因抗原の違いにより治療法が異なりますので、専門医の指示に従ってください。

関連項目

 鼻閉鼻漏

野中 学


アレルギー性鼻炎
アレルギーせいびえん
Allergic rhinitis
(子どもの病気)

どんな病気か

 「くしゃみ、鼻みず、鼻づまり」が、慢性にまたは季節の変わりめに起きる病気です。

原因は何か

 イエダニやカビ、花粉(スギ、カモガヤ、ブタクサ、シラカバ)などが原因と考えられており、もともとアレルギー体質の強い子どもに起きやすいと考えられています。花粉が原因の場合、眼やのどにもアレルギーが起きて、花粉症と呼ばれます。

 花粉症の場合、果物を食べることによって唇がはれたり口のなかが痛くなる口腔アレルギー症候群という病気を合併する場合もあります。これは、花粉症の抗原と果物の抗原の構造がよく似ているためです。

検査と診断

 ①血液検査でアレルギーを確認すること、②鼻汁を顕微鏡でのぞいて好酸球(こうさんきゅう)というアレルギーの元になる細胞を確認すること、③原因と思われる抗原を実際に鼻のなかに入れてアレルギー症状が起きることを確認すること、この3点が診断の基準とされています。

治療の方法

 まず、原因となるものの排除が必要です。ダニ対策、花粉対策を行います。

 薬物療法としては、鼻汁が主体の場合は抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬である塩酸フェキンフェナジン(アレグラ)、塩酸エピナスチン(アレジオン)、エバスチン(エバステル)、ロラタジン(クラリチン)、塩酸セチリジン(ジルテック)などを、鼻づまりが主体の場合はロイコトリエン拮抗薬であるプランルカスト水和物(オノン)、モンテルカストナトリウム(キプレス、シングレア)というアレルギー反応の中和薬をのんだり、鼻に直接注入(点鼻(てんび))したりします。

 炎症をとる効果のあるステロイド薬は、点鼻の場合(プロピオン酸フルチカゾン〈フルナーゼ〉など)、副作用は少ないといわれています。花粉症であれば、その季節の数週間前から、前述した治療を予防的に行うと有効です。

 慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)を併発している場合は、マクロライド系という抗生剤(エリスロシンなど)やカルボシステインムコダイン)という薬の併用も有効です。マクロライド系の場合、少量で使えば抗生剤としての効果は少ないのですが、炎症止めとして期待できます。カルボシステインは、痰切りとして古くから使われている薬ですが、副鼻腔や中耳炎などのうみを外に出すことを手助けする効果も近年発見されました。抗アレルギー薬と併用すると、より有効です。

 治りにくい患者さんには、家塵(ハウスダスト)や花粉を少量ずつ定期的に注射してアレルギー反応を鈍感にさせる減感作(げんかんさ)療法という方法もあります。また、鼻のなかに構造上の異常がある場合(骨が曲がっている、鼻の通路が狭くなっているなど)は、手術が鼻炎の治療の手助けとなる場合もあります。

是松 聖悟

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

食の医学館 「アレルギー性鼻炎」の解説

あれるぎーせいびえん【アレルギー性鼻炎】

《どんな病気か?》


〈抗原抗体反応で起こるくしゃみ、鼻みず、鼻づまり〉
 近年、春先になると、くしゃみや鼻みず、目のかゆみなどに悩まされる花粉症(かふんしょう)の人がふえていますが、その鼻の症状がアレルギー性鼻炎(びえん)によるものです。
 アレルギー性鼻炎とは、鼻の粘膜(ねんまく)でアレルギー反応が起こる病気です。外部から異物(抗原(こうげん))が侵入したとき、その抗原に対応する抗体(こうたい)が体内にあると、抗原と抗体が結合する抗原抗体反応が起こります。すると、細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、アレルギー反応が起こるのです。
 細胞から放出されたヒスタミンなどの化学伝達物質が、鼻の粘膜を刺激したり、自律神経のバランスをくずして副交感神経の働きを優位にするためにくしゃみ、鼻みず、鼻のむずむず感といった症状が現れます。また、粘膜の血管が拡張するため、鼻づまりも起こります。
 鼻づまりがひどくなると、鼻での呼吸が十分にできなくなり、口で呼吸するようになります。そのため、のどの痛みやいびき、不眠、注意力散漫なども引き起こされます。
 アレルギー性結膜炎(けつまくえん)を合併することも多く、目のかゆみや充血、流涙(りゅうるい)がみられることもあります(「アレルギー性結膜炎」参照)。
〈高たんぱく・高栄養の食事も抗体をつくる一因に〉
 アレルギー性鼻炎は、空気中をただよう抗原を鼻から吸い込むことによって起こります。
 代表的な抗原はハウスダスト(室内のホコリ)やダニ、風媒花(ふうばいか)(風にのって花粉を飛ばす花)の花粉などで、花粉が抗原となって起こるアレルギー性の炎症を総称して「花粉症」と呼びます。
 ハウスダストやダニを抗原とする場合は季節に関係なく症状が現れますが、花粉症では、たとえばスギは春、ブタクサは秋というように、開花の時期に一致して症状がでることが特徴です。
 アレルギーは遺伝的な体質と関係があるといわれますが、環境や栄養など外部的な要因も指摘されています。たとえば、住宅の気密性が高まったためにダニがふえたことや、戦後の植林によってスギ花粉の量がふえたこと、ディーゼル車の排気ガスやタバコの煙も影響があるとされています。
 高たんぱく・高栄養の食事が抗体の産生に結びつくこともあります。また、ストレスの増加による自律神経の乱れも誘引になると考えられています。
 アレルギー性鼻炎を予防するためには、アレルゲンとの接触を避けることがもっともたいせつです。スギ花粉などは、シーズンになるとテレビや新聞で花粉情報を流しますので注意しておきましょう。
 また、規則正しい生活とバランスのとれた食事、軽い運動も効果があるとされています。

《関連する食品》


〈免疫機能にかかわるビタミンB6、Cをとろう〉
○栄養成分としての働きから
 アレルギー性鼻炎は、アレルギー疾患の1つなので、抗アレルギー作用のある成分、つまり免疫調整機能を正常に保つ働きをする成分が有効です。
 ビタミンB6、C、α(アルファ)リノレン酸、IPA(イコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、カテキンなどのフラボノイド類、ギンコライド、グリチルリチンといった成分を含む食品を積極的にとるようにしましょう。
 とくにビタミンB6は、不足するとアレルギー症状がでやすく、B6をとると症状が軽減する人もいます。
 ビタミンB6は、レバーや鶏むね肉などに含まれています。
 また、イチゴ、コマツナブロッコリーグレープフルーツなどに多く含まれるビタミンCにも免疫力を高める効果があります。
〈シソ油、ツキミソウ油、緑茶が症状を緩和する〉
 最近では、リノール酸をとりすぎるとアレルギー症状が強まることがわかってきました。リノール酸をとると、体内で、胃炎などの症状を鎮めるアラキドン酸が合成されますが、このアラキドン酸がふえすぎるとアレルギー反応が起こりやすくなるのです。
 α―リノレン酸は、リノール酸と同じ不飽和脂肪酸の1つですが、体内でIPAやDHAにかわり、アラキドン酸の働きを抑制する働きがあります。
 α―リノレン酸はシソや海藻などに含まれていますが、量はわずかなので、シソから抽出したシソエキスや種子からつくるシソ油などを利用するといいでしょう。
 ただし、加熱によって酸化しやすい性質があるため、野菜はサラダにし、油はドレッシングに利用するなど、火を通さずに料理することがポイントです。
 α―リノレン酸の1日の必要量を3gとして概数計算すると、野菜でとるには次のようにたくさんの量が必要になります。キャベツなら8個、ホウレンソウなら8束、コマツナなら8束、ダイコンなら6本、日本カボチャなら13個、サラダナなら25株、トマトなら80個、ピーマンなら300個、オクラなら1000本、キュウリなら50本などです。
 もちろん、直接IPAやDHAをとる方法でもかまいません。IPAはマグロ、アジ、カツオなど、DHAはマグロ、ブリ、ウナギなどに多く含まれています。
 ただし、これらの食品はアレルゲンになるおそれがあるので、IPA、DHAはサプリメントで摂取することをおすすめします。
 同じ不飽和脂肪酸の仲間であるγ(ガンマ)―リノレン酸も、アレルギー症状の緩和に有効です。
 γ―リノレン酸は、ツキミソウ油などに含まれています。
 カテキンなどのフラボノイド類を多く含む緑茶、イチョウ葉とギンナンに含まれる特有の成分ギンコライド、甘草(かんぞう)に含まれているグリチルリチンなども効果があるのではないかと考えられています。

あれるぎーせいびえん【アレルギー性鼻炎】

《どんな病気か?》


〈高たんぱく・高脂質の食事がアレルギーの子どもをふやす〉
 アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜(ねんまく)でアレルギー反応(「食物アレルギー」参照)が起こり、くしゃみを連発したり、鼻みず、鼻づまりなどの症状を引き起こす病気です。
 鼻づまりがひどくなると、口で呼吸するようになるため、のどの痛みやいびき、不眠、ひいては注意力散漫といった症状が現れてきます。
 子どもにかぎらず大人でも、年々、アレルギー性鼻炎にかかる人がふえています。
 また、結膜炎を合併することもあり(「アレルギー性結膜炎」参照)、目のかゆみや充血、涙がでるなどの症状が起こることもあります。
 これは、スギの植林面積の増加によってスギ花粉がふえたこと、高たんぱく・高脂質などの高栄養の西欧型食生活が、アレルギー反応のもととなる抗体(こうたい)の産生をふやしていること、さらにダニの繁殖に適した気密性の高い住環境、排気ガスなどの化学物質による環境汚染やストレスなどが原因で、人の体にとって異物と認識されるものがふえたためだといわれています。

《関連する食品》


〈免疫を調整し、粘膜の健康に不可欠な成分を補給する〉
○栄養成分としての働きから
 免疫(めんえき)調整機能を正常にもどしてくれるビタミンB6、DHA、IPAを含む食品が有効です(「アトピー性皮膚炎」、一般の病気の「アレルギー性鼻炎」参照)。
 またビタミンCや、ナイアシンは、くしゃみ、鼻みずなどのアレルギー症状を引き起こすヒスタミンをブロックします。
 ビタミンCはコマツナ、カリフラワーなどの野菜に多く含まれています。ナイアシンは、肉や魚などに含まれていますが、アレルゲン(アレルギー反応を引き起こす原因物質)になる可能性があるので、心配な場合はサプリメントで代用してください。
 呼吸器粘膜の健康維持に不可欠なビタミンA、セレン、亜鉛(あえん)もしっかりと補給しておきましょう。
 ビタミンAは、粘膜を丈夫にしてアレルゲンが侵入するのを防いでくれます。肉類や魚類などの動物性食品がアレルゲンの場合は、コマツナ、ニンジン、シュンギクなどの植物性食品から補うようにします。
〈大気汚染から呼吸器粘膜をまもるセレン、亜鉛〉
 大気汚染物質とアレルゲンを同時に吸入すると、アレルギー症状がひどくなることがわかっていますが、セレンや亜鉛は大気汚染物質から呼吸器粘膜をまもる働きがあります。
 ともにサプリメントが販売されているので、不足している場合は、それを利用するといいでしょう。

出典 小学館食の医学館について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレルギー性鼻炎」の意味・わかりやすい解説

アレルギー性鼻炎
あれるぎーせいびえん
allergic rhinitis

アレルギーによっておこる鼻の炎症。症状は、くしゃみ、鼻水(鼻漏)、鼻づまり(鼻閉)の三つである。アレルギー性鼻炎は「鼻アレルギー」ともいわれ、ほぼ同義であるが、鼻アレルギーは鼻腔(びくう)だけでなく、副鼻腔のアレルギーも含む表現であるので、やや広い概念である。

[高増哲也 2021年9月17日]

分類と原因

アレルギー性鼻炎は、通年性(季節に関係なく症状がおこる)と季節性(特定の季節に症状がおこる)に分けられる。同じ人にその両方がみられる場合もある。通年性アレルギーの抗原(アレルゲン)でもっとも多いのは、ダニである。季節性アレルギーの抗原でもっとも多いのは、花粉である。したがって季節性アレルギー性鼻炎は「花粉症」ともよばれるが、花粉症には眼(め)に症状が現れるアレルギー性結膜炎も含まれる。

 体の外にあるダニや花粉の抗原が鼻腔粘膜に付着すると、体の内側のマスト細胞にある抗体(IgE抗体)と反応し、マスト細胞からヒスタミン、ロイコトリエンが遊離することで、ヒスタミンはくしゃみと水様性の鼻水、ロイコトリエンは鼻づまりを引き起こす。

[高増哲也 2021年9月17日]

診断と治療

診断は症状の出方などについての問診、鼻鏡を用いた鼻腔粘膜の観察、鼻水中の好酸球の観察、血液や皮膚などを用いて抗体を検査することなどによって行う。

 治療には、抗原となっている物質の回避、薬物療法、免疫療法、手術がある。抗原となっている物質の回避は、ダニの場合は部屋や寝具を清潔に保つ(掃除機をかけるなど)、花粉の場合は花粉が鼻腔に入ってこないようにマスクをすることなどがある。薬物療法は、内服薬、点鼻薬が中心となるが、その他生物学的製剤の注射、漢方薬の投与などがある。内服薬としては、くしゃみ、鼻水には抗ヒスタミン薬、鼻づまりには抗ロイコトリエン薬を用いる。点鼻薬は鼻噴霧用ステロイド薬がおもに用いられ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに効果がある。その他、点鼻用血管収縮薬は鼻づまりに即効性があるが、長期的には鼻づまりを悪化させるため、やむをえず使う場合は一時的な使用にとどめる。免疫療法は、抗原エキスを舌下または皮下に繰り返し投与して抗原に慣れさせる方法であり、原因に対する根本的な治療法となりえる。手術は粘膜を切除する方法で、レーザーを用いる方法もあるが、再発することもある。

[高増哲也 2021年9月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アレルギー性鼻炎」の意味・わかりやすい解説

アレルギー性鼻炎
アレルギーせいびえん
nasal allergy

くしゃみ発作,水様の鼻汁,鼻づまり(鼻閉塞)をおもな症状とする鼻疾患のうち,臨床的に抗原の明らかなもの。抗原の不明なものは血管運動性鼻炎として区別する。両者を総称して鼻過敏症と呼ぶこともある。抗原は主として吸入性で,室内塵,ダニ,花粉,真菌などが関係することが多い。いわゆる花粉症の症状をとることが多い。しばしば気管支喘息も併発する。(→鼻炎

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改訂新版 世界大百科事典 「アレルギー性鼻炎」の意味・わかりやすい解説

アレルギー性鼻炎 (アレルギーせいびえん)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアレルギー性鼻炎の言及

【アレルギー】より

…また,ガレノスが150年ころにヤギ乳について同様のことを注意した記録があるし,バビロニアの《タルムード》には卵白によるアレルギー性疾患と思われるものの予防法が書かれている。1565年にイタリア人の医師ボタロは花の花粉によると考えられるアレルギー性鼻炎を記載している。1873年イギリスの医師ブラックリーCharles H.Blackleyは,アレルギー性鼻炎(当時は枯草熱と呼んでいた)を起こす季節以外でも,患者に花粉を吸入させると症状を誘発しうることや,花粉をこのような患者の皮膚に擦り込むと発赤と膨疹を起こすことを発見した。…

【鼻アレルギー】より

…アレルギー性鼻炎ともいう。遺伝子病の一種。…

※「アレルギー性鼻炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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