アレクサンドル(3世)(読み)あれくさんどる(英語表記)Александр Ⅲ/Aleksandr Ⅲ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレクサンドル(3世)」の意味・わかりやすい解説

アレクサンドル(3世)
あれくさんどる
Александр Ⅲ/Aleksandr Ⅲ
(1845―1894)

ロシアの皇帝(在位1881~1894)。アレクサンドル2世次男として2月26日生まれ、兄ニコライの死によって皇太子となり、父帝暗殺即位した。皇太子時代に保守的思想家ポベドノースツェフの影響を強く受け、ロシアにとっては強力な専制がもっともふさわしい政治形態だと確信するようになった。即位直後、「臨時措置令」を公布して、革命運動を厳しく取り締まった。1880年代の前半には人頭税を廃止するなど、経済の分野でいくつかの改革を行ったが、後半になると、前皇帝の時代に施行された改革を廃止または改悪し、「反改革」を推し進めた。その典型的な例が1889年に設立された地方主事の制度である。外交面では、ドイツとの関係がしだいに悪化し、フランスに近づいてロシア・フランス同盟を成立させた。経済政策の分野では、ウィッテを蔵相に登用して、政府による「上からの工業化」の端緒をつくった。1894年10月20日没。

[外川継男]


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旺文社世界史事典 三訂版 「アレクサンドル(3世)」の解説

アレクサンドル(3世)
Aleksandr Ⅲ

1845〜94
ロシアの皇帝(在位1881〜94)
父2世暗殺のあとをうけて即位。学問を好まぬ軍人で,徹底した反動政治を行い,ポーランドフィンランドなどのロシア化を強行中央アジアに進出してイギリスと対立した。1891年露仏同盟を結び,フランス資本を導入してシベリア鉄道を起工した。

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