アルミノケイ酸塩(読み)あるみのけいさんえん(英語表記)aluminosilicate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルミノケイ酸塩」の意味・わかりやすい解説

アルミノケイ酸塩
あるみのけいさんえん
aluminosilicate

ケイ酸塩ケイ素アルミニウムで置換した形の化合物の一般名称。一般式xMI2O・yAl2O3・zSiO2・nH2O。岩石を構成する主要な化合物で、地球上にもっとも広く分布しており、長石類、沸石類、雲母(うんも)など重要なものが多い。長石類では曹長石NaAlSi3O8、灰長石CaAl2Si2O8など、沸石類ではソーダ長石Na2Al2Si3O10・2H2O、方沸石NaAlSi2O6・H2Oなど、雲母類では白雲母KAl2(OH)2AlSi3O10、黒雲母K(Mg,Fe)3(OH,F)2(Al,Fe)Si3O10などである。ケイ酸イオンのケイ素をアルミニウムで置換したアルミノケイ酸イオンを含み、平面無限層状構造や三次元骨格構造をつくっている。たとえば雲母中では平面層状イオンがあるため劈開(へきかい)する。また沸石中では三次元の籠(かご)型構造があり、籠の中の空間には小分子を収蔵することができ、分子ふるいとして使われたり、イオン交換体として使われる。沸石類は天然に存在するもののほか、工業的に多くのものがつくられ、分子ふるいやイオン交換体として広く使われている。

[中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「アルミノケイ酸塩」の解説

アルミノケイ酸塩
アルミノケイサンエン
aluminosilicate

ポリケイ酸([別用語参照]ケイ酸)の基本構造となる,SiO4四面体のSiの一部をAlで置き換えたアルミノケイ酸の金属塩.一般式はxM2O・yAl2O3zSiO2nH2O(ただし,金属は Mのものもあり,nは0の場合もある)で,ポリケイ酸と同じく鎖状,層状,網状など各種の構造のものがある.金属Mは,その骨格中ではなくすきまに入っている.地殻の主要成分として天然に多く存在している.長石類(正長石K2O・Al2O3・6SiO2),沸石(ゼオライト)類(方沸石Na2O・Al2O3・4SiO2・2H2O)はその例である.また,用途に応じて人工的に特定構造のものが合成されている.天然のアルミノケイ酸塩岩石はセメント陶磁器の原料となる.ゼオライト(とくに合成ゼオライト)は,吸着剤,触媒,イオン交換体,モレキュラーシーブなどに利用される.また,合成アルミノケイ酸塩材は,装飾用,電気絶縁体などとして用いられる.アルミノケイ酸リチウム(Li2O・Al2O3・2または4H2O)は,耐熱食器材に用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android