改訂新版 世界大百科事典 「アルバユリア」の意味・わかりやすい解説
アルバ・ユリア
Alba Iulia
ルーマニア中西部にあり,アルバ県の県都。人口6万6000(2002)。西カルパチ山脈中,アプセニ山地の東山麓にあり,ムレシュ川をはさんでトランシルバニア台地と対している。標高232m,年平均気温9.5℃,年降水量600mm前後。アプセニ山地への登山や観光の基地であり,また,ほぼ南北に流れるムレシュ川に並行して鉄道や道路が通じ,南北交通の要地になっている。町の北方20kmにある約2000年前のダキア時代の要塞アポウロンを起源とする町で,当時ダキアの政治・経済の中心地であった(ラテン名アプルムApulum)。16~17世紀にはトランシルバニア地方の政治・経済およびカトリックの中心地になった。1600年ミハイ勇敢公が一時全ルーマニアを統一したとき,首都になった。1918年,国民会議がここで開催され,全トランシルバニアがルーマニアと統一するという宣言が発せられた地となった。鉱山機械工業や食品工業が発達する。
執筆者:佐々田 誠之助
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