アルツイバーシェフ(英語表記)Artsybashev, Mikhail Petrovich

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルツイバーシェフ」の意味・わかりやすい解説

アルツイバーシェフ
Artsybashev, Mikhail Petrovich

[生]1878.11.5. ハリコフ
[没]1927.3.3. ワルシャワ
ロシアの作家。 19世紀末から 20世紀初頭にかけてロシア文壇を風靡した近代主義の代表的な作家。ニーチェ的な個人主義の立場から生と死の問題,恋愛と性の問題を現実逃避的に追求し,十月革命後はポーランド亡命。代表作『サーニン』は,1905年の第1次ロシア革命の敗北に幻滅したインテリゲンチアが,暗い反動期のなかで道徳的に退廃し,性の放縦に走った時代風潮をいちはやく反映した長編小説。主人公サーニンの古いモラルの否定と性欲賛美の行動と思想は,「サーニズム」という言葉を生んだほど当時の青年男女にもてはやされた。『サーニン』の続編ともいうべき『最後の一線』U poslednei cherty (1912) では,性欲の賛美が自殺の賛美へと一転し,人生の醜さと無意味さが深刻に描かれている。ほかに『ランデの死』 Smert' Lande (04) ,『人間の波』 Chelovecheskaya volna (07) などがある。

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