アルタミラ(英語表記)Altamira

翻訳|Altamira

デジタル大辞泉 「アルタミラ」の意味・読み・例文・類語

アルタミラ(Altamira)

スペイン北部、サンタンデール西方にある洞窟どうくつ。1879年に発見された旧石器時代壁画で知られる。1985年、世界遺産文化遺産)に登録された。

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改訂新版 世界大百科事典 「アルタミラ」の意味・わかりやすい解説

アルタミラ
Altamira

スペイン北部,サンタンデル県にある長さ270mの洞窟で,後期旧石器時代の壁画がある(洞窟美術)。壁画は,貝殻や動物の骨,焚火の跡とともに,1879年に発見された。発見者のサウトゥオラMarcelino de Sautuolaは旧石器時代のものと主張したが,学界の承認を得るにいたらず,1902年,フランスの考古学者カルタイヤックÉmile Cartailhacとブルイユ調査によって,サウトゥオラ説が確認された。壁画が集中しているのは,入口から30mほど入った左方にある,長さ18m,幅8~9mの部屋の天井(高さ1~2m)で,25頭の動物像が赤・黒・褐色で描かれている。とくにバイソンが多く,鹿,猪,馬などのほか,呪術師らしい仮装人物の絵もある。色彩対照やぼかしによって,立体感や現実感にあふれる表現がみられ,特に巧みな陰影処理による明暗の効果は,旧石器時代絵画の最高水準を示す。このような完成した様式は,マドレーヌ後期(マドレーヌ文化)に比定することができる。また,バイソンの体全部,あるいは頭,腹,尻などの部分が,岩盤隆起をうまく利用してあらわされ,浮彫の効果を示す。この洞窟からはオーリニャック期の遺物は出土していないが,明らかにオーリニャック期に属する若干刻画--〈マカロニ〉と呼ばれる,粘土質の壁に3本の指で刻まれた屈曲線--が奥洞に見いだされる。
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百科事典マイペディア 「アルタミラ」の意味・わかりやすい解説

アルタミラ

スペイン北部のカンタブリア山脈北斜面にある洞窟。1879年,洞窟絵画が発見され,1902年の調査で後期旧石器時代のものと確認された。赤黒の色彩を使って,野牛,イノシシ,馬,シカなどの躍動する姿が壁に描かれ,点描法や濃淡による陰影法などの手法も使われている。1985年と2008年世界文化遺産に登録。
→関連項目サンタンデル洞窟美術ブルイユラスコー

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アルタミラ」の解説

アルタミラ
Altamira

スペイン北部,カンタブリア山脈の北斜面にある洞窟で,旧石器時代後期に属する壁画がある。洞窟内の遺物および描かれた動物が絶滅種の化石骨に一致することなどから人類最古の絵画の一つとして有名。動物を描く壁面は入口に近い小室の奥壁にあり,牛,馬,ヤギなどを含み,赤・黒の色彩,濃淡の陰影により生気に満ちている。

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