アルガルベ(英語表記)Algarve

改訂新版 世界大百科事典 「アルガルベ」の意味・わかりやすい解説

アルガルベ
Algarve

ポルトガル南端に位置する地方。ファーロ県と一致する。国土の約5.4%を占め,面積4988km2。人口39万5218(2001)。北部の内陸丘陵部の人口密度は低く,南部の沿岸平野部に人口が集中。一般に中規模の土地所有(平均7.8ha)が発達する。地中海性気候で沿岸部は特に夏の高温,乾燥が著しく,夏の水不足は同地方の深刻な社会問題である。アルガルベの名はアラビア語の〈西方〉を意味する語al-gharbに由来し,イスラム統治下ではイベリア半島南西部全域の呼称であった。ジョアン3世のファーロ奪回(1249)以後,国土回復を完了したポルトガルの州名となる。内陸の丘陵では小麦,豆類のほか,イチジク,アーモンド,オリーブ,オレンジ等を産し,乾燥イチジクは古来同地方の名物として知られる。沿岸の平野ではジャガイモ,トウモロコシの栽培が盛んで,地下水を利用した灌漑も進み,さまざまな野菜の初物が全国に向けて出荷される。良港に恵まれ漁業も盛ん。イワシ・マグロの缶詰製造,コルク加工は同地方の主要産業。近年は急速に観光地化が進み,美しい砂浜と太陽を求めて,訪れる外国人も多い。アルガルベは国内で最も強くイスラムの影響を残し,屋上テラスと幾何学模様を施した煙突をもつ白亜の家,春の訪れを告げるアーモンドの白い花は当地方の典型的風物として語られる。南西端のサグレス岬にはインド航路発見をめざすエンリケ航海王子により,海事学校が設置されたと伝えられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルガルベ」の意味・わかりやすい解説

アルガルベ
Algarve

ポルトガル南端の地方。かつてのムーア人王国 (1140~1249) の地で,アルガルベはアラビア語で「西」の意味。ファロ県と一致する。ポルトガルのなかで最もムーア的なところとされる。

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