アルガリ(英語表記)argali
Ovis ammon

デジタル大辞泉 「アルガリ」の意味・読み・例文・類語

アルガリ(argali)

ウシ科ヒツジ属の哺乳類中央アジア・東部モンゴルの山岳地帯に生息する。体高約1.8メートル、雄は幅広く長大な螺旋らせん形の角をもつ。

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改訂新版 世界大百科事典 「アルガリ」の意味・わかりやすい解説

アルガリ
argali
Ovis ammon

家畜のヒツジに似て大きく,角が長大なウシ科の哺乳類。ヒマラヤパミールチベットから,北はアルタイ山脈,東はゴビ砂漠南部を経て大興安嶺までの山地に分布する野生ヒツジ。雄は肩高105~125cm,体長150~200cm,体重は230kgに達する。雌はこの約3/4。雄の角は長く,ときに150cmに達し,1~1.5回渦巻状にねじれながらしだいに顔から離れる。角の表面には顕著な横しわがある。雌の角は短く,ねじれない。体は灰褐色,尻と腹,くびの下面などは白く,背に鞍状の淡色斑を欠き,くびと肩の背面に暗色の短い毛冠がある。高い山の岩の多い草地や半砂漠に大小の群れですみ,夏は6000mまでの高山に達するが冬は低地へ移動する。主として昼間活動し,草,低木の葉や芽,若枝などを食べる。妊娠期間147~188日,3~6月に1子,まれに2子を生む。ふつう雌は2歳半,雄は3歳半で性的に成熟,寿命は12~18年。しばしばムフロンO.orientalisと同一種とされるが,染色体(2n)はムフロンの54に対し56で,近年では別種と見る人が多い。
ヒツジ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルガリ」の意味・わかりやすい解説

アルガリ
Ovis ammon; argali

偶蹄目ウシ科の野生のヒツジ。体長 1.5m内外,肩高 1.2m内外。角は長大で,曲りに沿った長さが 2mに達することもある。角の基部は太くて角張っているが,先端は丸くて外方に向い,渦のようにねじれる。早朝および夕方活動し,おもに草類を食べる。小群をつくってすむが,成獣の雄は夏の間群れから離れて高い岩場単独でいる。アルタイ山脈,天山山脈,チベット,パミール高原ネパール,モンゴルに分布し,高地の岩場や谷間高原草原にすんでいる。

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世界大百科事典(旧版)内のアルガリの言及

【ヒツジ(羊)】より

…【一条 薫】。。…

【ウリアル】より

…体毛は夏毛では赤褐色を帯びた灰色,冬毛では褐灰白色である。しばしばアルガリO.ammonの亜種とされるが,染色体数2n=58で,アルガリの56と異なっている。峡谷でくぎられた山腹の岩の多い草原から,森林限界以上の高山草原まで,種々の環境に3~30頭の群れですみ,きわめて用心深い。…

【ヒツジ(羊)】より

…ユーラシア系の種には,家畜のヒツジの原種と見られるムフロンO.musimon(サルデーニャとコルシカ)とアジアムフロンO.orientalis(小アジア,イランなど。ただしこれらを同一種とみなす学者もあり,その場合はムフロンの学名はO.orientalisとなる)のほか,ウリアルO.vignei(イラン,カシミール)およびアルガリO.ammon(アルタイ,ヒマラヤ)があり,アメリカ系の種にはビッグホーンO.canadensisがある。ビッグホーンは,シベリアビッグホーンO.nivicola(シベリア北東部),ダルビッグホーンO.dalli(アラスカ,カナダ)およびアメリカビッグホーンO.canadensis(カナダ南西部からメキシコ北部まで)の3種に細分されることがある。…

※「アルガリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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