アルカリ性食品(読み)アルカリセイショクヒン

デジタル大辞泉 「アルカリ性食品」の意味・読み・例文・類語

アルカリせい‐しょくひん【アルカリ性食品】

食品を燃焼して得た灰の成分中、カリウムナトリウムカルシウムなどアルカリ性を示す元素を多く含むもの。野菜・果物・海藻類など。

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精選版 日本国語大辞典 「アルカリ性食品」の意味・読み・例文・類語

アルカリせい‐しょくひん【アルカリ性食品】

〘名〙 体内に摂取されるとアルカリ化され、主にアルカリ性の物質を生ずる食品。野菜、果物、牛乳など。⇔酸性食品

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改訂新版 世界大百科事典 「アルカリ性食品」の意味・わかりやすい解説

アルカリ性食品 (アルカリせいしょくひん)

食品のミネラル無機質)について,カルシウムCa,カリウムK,ナトリウムNa,マグネシウムMg,鉄Feなどが,リンP,塩素Cl,硫黄Sなどに比べて多い食品をいう。食品を空気中で燃焼すると,糖質や脂質は二酸化炭素(炭酸ガス)と水になって消失し,ミネラルはタンパク質や脂質に含まれるものも含め,灰分として残る。食品のアルカリ度は,食品100gを燃焼して灰にし,その残った灰を一定の条件で溶解し,その水溶液のアルカリを中和するのに要する1規定の酸のcc数をもってあらわす。

 アルカリ性食品には,野菜,果物,いも類,牛乳などがある。果物の酸味クエン酸リンゴ酸などによるもので,食品のときは青色リトマス試験紙を赤色に変化させて酸性を示すが,燃焼して灰にしたときには,カリウムが多く残るので,アルカリ性になる。

 人間の血液リンパ液などの体液は,アルカリ性食品,酸性食品の摂取のしかたによって,直ちにアルカリ性になったり,酸性になったりするわけではない。体液は,エネルギー代謝,心臓や神経の機能を円滑にするためにも,つねにpH7.3~7.5の弱アルカリ性に保たれている。体液をつねに弱アルカリ性に保つのは,おもに血液の緩衝作用と,肺と腎臓の働きによるものである。

 酸性食品は,おもにエネルギーやタンパク質の補給源となる食品で,味覚的にもおいしく食べやすいものが多い。そのため,酸性食品中心の食事にかたよることは,栄養的バランスから考えて好ましくないといわれている。つまり,アルカリ性食品を摂取するようにといわれるのは,食物の偏食を防ぐ意味と,ビタミン,ミネラル類を摂取する意味からである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルカリ性食品」の意味・わかりやすい解説

アルカリ性食品
あるかりせいしょくひん

食品に含まれている無機質のうち、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどアルカリをつくるものが、リン、硫黄(いおう)、塩素など酸をつくるものよりも多い食品をいう。これに対して酸をつくる無機質の多いものを酸性食品という。測定法は、一定量の食品を焼いて得た灰分を水に溶かし、これを中和させるのに必要な酸の量をみるか、灰分中の元素分析を行い、両群の元素のミリグラム当量の差から算出する。一般に、カリウムやカルシウムの多い野菜、果実、海藻、キノコ、いもなどがこれに入る。体液が水素イオン濃度指数(pH)7.4に維持されていることから、アルカリ性食品が健康によいといわれたが、体の機能はつねに一定のアルカリ度を保っているので、摂取する食品によって影響は受けない。

[河野友美・山口米子]

『山口迪夫著、国民栄養振興会・日本栄養士会栄養指導研究所編『アルカリ性食品・酸性食品の誤り』(1987・第一出版)』

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百科事典マイペディア 「アルカリ性食品」の意味・わかりやすい解説

アルカリ性食品【アルカリせいしょくひん】

食品を燃焼して灰にしたとき,その灰分中にナトリウム,カリウム,カルシウム等のアルカリ性を示す元素を多く含む食品で,野菜,果物,牛乳など。食品100gを燃焼して得る灰分を一定の条件下で水に溶解し,その水溶液のアルカリを中和するのに要する1規定の酸のミリリットル数で表す。これに対し穀類や肉類のように,塩素,リン,硫黄等の酸をつくる元素を多く含むものを酸性食品という。ヒトの体液は弱アルカリ性で,酸性食品の摂取については,相当量のアルカリ性食品をとることが望ましいとの説があるが,人間の血液やリンパ液などの体液は,アルカリ性食品,酸性食品の摂取のしかたによって,直ちにアルカリ性になったり酸性になったりするわけではない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルカリ性食品」の意味・わかりやすい解説

アルカリ性食品
アルカリせいしょくひん

体内で塩基 (アルカリ性を与える) を生じる無機質が多い食品をいう。食品のアルカリ性の度合いは,食品 100gを焼いて得られた灰分を中和するに要する規定酸液の cc数で表わされる。牛乳,野菜,果実類,芋類はアルカリ性残基を残すのでアルカリ性食品である。果実のうち柑橘類は酸味が強く,実際にクエン酸が存在するが,これは体内で完全に酸化燃焼して最後には二酸化炭素になるので,体内の無機質の反応には関係ない。また一般に酒類は酸性食品であるが,ワインは酒類のなかでは唯一のアルカリ性食品である。人間の血液は常に一定の pHに保たれており,すぐに酸性になったり,アルカリ性になったりするわけではないが,アルカリ性食品を適度に食べることは栄養のバランス上よいと考えられる。

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栄養・生化学辞典 「アルカリ性食品」の解説

アルカリ性食品

 食品の有機成分が代謝されたあと,残る無機成分がアルカリ性を示す食品.もしくは,食品を燃焼させたあとにアルカリ性の灰分が残る食品.塩素,リン,硫黄の多い食品,例えば穀物は酸性食品.カリウム,ナトリウム,カルシウム,マグネシウムなどの多い食品にアルカリ性食品が多い.牛乳はカルシウムに富み,アルカリ性食品である.以前,体液のpHをアルカリ側に変化させる食品との考えも提示されたが現在では否定されている.

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