アラブ種(読み)アラブしゅ(英語表記)Arab

翻訳|Arab

改訂新版 世界大百科事典 「アラブ種」の意味・わかりやすい解説

アラブ[種]
Arab

ウマの1品種で乗用馬として用いられる。原産地アラビア半島で,中心部の砂漠地帯で生産された血統の正しいものを貴種アラブと呼んで,その他のもの(庸種アラブ)と区別している。均整のとれた優美な体型を有し体高150cmぐらい,体重400kgぐらい。頭は小さいが額が広く,目が大きく表情が豊かである。首は高く体軀(たいく)はしまって,背腰は短く尾つきは高い。尾毛は豊かで尻から離れて垂れる。四肢の骨は固く緻密(ちみつ)で関節は強大である。毛は短く光沢があり,毛色葦毛(あしげ),鹿毛,栗毛が多く青毛は少ない。速力サラブレッド種に劣るが持久力に富み,性質は温和で,体質は強健,粗放な飼養管理にもよく耐える。本種は世界各国で産馬改良に用いられ,イギリスのサラブレッド種もその一つである。日本でも1886年以来種馬として輸入され,乗用馬の改良に広く用いられた。また競走馬としても活躍している。
ウマ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アラブ種」の意味・わかりやすい解説

アラブ種
アラブしゅ
Arab

アラビア半島の砂漠地帯を原産地とする乗用馬の一品種。体は小型 (体高 145~150cm) で,毛色は葦毛,鹿毛,栗毛が多く,性質は温順怜悧で,飼育も比較的容易である。サラブレッド種との交配により,アングロ=アラブ種が生産される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアラブ種の言及

【ウマ(馬)】より


[軽種]
 体格は比較的小柄で,体型は均整がとれ品位に富み乗用馬,競走馬として用いられる。(1)アラブ種Arab(イラスト)アラビア原産の小柄なウマ。持久力に富み体質強健で,世界各地で産馬の改良に用いられている。…

【ウマ(馬)】より

…シンリンターパンはポーランドからウクライナにかけての森林地帯に野生していた大型のターパンであるが,歴史時代に入る前に滅んでいた。多元説ではプシバルスキーウマがモウコウマをはじめとするアジアの草原型の品種の先祖に,ターパンがアラブ種など高原型の軽種の先祖に,シンリンターパンがベルジアン種など森林型の重種の先祖となったとしているが,単元説ではプシバルスキーウマがすべての馬種の祖先種で,ターパンはいったん家畜化されたウマの再野生化したものとしている。現在,俗に野生馬といわれているフランスのカマルグ,メキシコのムスタング,南アメリカのシメロンなどは家畜ウマが放たれて再び野にかえった再野生馬である。…

【競馬】より

…中央競馬の競馬場は札幌,函館,福島,新潟,中山,東京,中京,京都,阪神,小倉の10ヵ所。
【競馬のしくみ】

[競走の種類]
 日本で行われている競走は,1995年まで競走馬の品種によりサラブレッド系とアラブ系に分かれ,前者では平地,障害両競走が行われ,後者では平地競走のみが行われていたが,アラブ系競走は96年に中央競馬では廃止された。トロッター種による繫駕速歩(けいがそくほ)競走も1968年かぎりで中央競馬から姿を消した。…

※「アラブ種」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android