アラブ共同市場(読み)あらぶきょうどうしじょう(英語表記)Arab Common Market

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラブ共同市場」の意味・わかりやすい解説

アラブ共同市場
あらぶきょうどうしじょう
Arab Common Market

略称ACM。アラブ諸国間の共同市場。1964年エジプトカイロで署名されたアラブ共同市場設立協定によって設立、1965年1月1日発足した。当初の参加国はエジプト、ヨルダンイラクシリアクウェートの5か国であったが、クウェートは議会で承認が得られず、ヨルダンは1972年に脱退。域内外産品の貿易の自由、居住・労働・雇用・経済活動の自由、港湾・空港の利用の自由の実現などを目的とし、対外共通関税を設けて、域内関税を毎年10%、農産物は毎年20%引き下げることを予定したものの、実質的には活動を停止している。アラブ地域ではいままでに、ほかにも共同市場構想がいくつか試みられてきているが、加盟諸国の政治的、経済的条件の相違などが障害となり、経済統合の実現には困難が多い。

[相原 光]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アラブ共同市場」の意味・わかりやすい解説

アラブ共同市場
アラブきょうどうしじょう
Arab Common Market

1964年8月のアラブ連盟理事会の決定に基づき,65年1月エジプト,イラク,ヨルダン,シリアの4ヵ国が発足させた機構。加盟国の域内関税の漸減と貿易制限の撤廃を目的とし,71年までに関税漸減を実施し,その後モーリタニア南イエメン (現イエメン共和国) も加盟したが,加盟国間の政治的対立のために貿易制限の撤廃ははかばかしく進んでいない。

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世界大百科事典(旧版)内のアラブ共同市場の言及

【関税同盟】より

…EECに対抗して,イギリス,スウェーデン,デンマーク,オーストリア,ポルトガルは60年にヨーロッパ自由貿易連合(EFTA)を発足させたが,これは自由貿易地域にとどまるものであり関税同盟ではない。EECやEFTAに触発されて,それ以後,ラテン・アメリカ自由貿易連合(LAFTA),中米共同市場(CACM),アラブ共同市場(ACM),西アフリカ諸国経済共同体(ECWAS)等,世界各地に多くの経済統合が発足している。【倉田 一成】。…

※「アラブ共同市場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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