日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラトス(詩人)」の意味・わかりやすい解説 アラトス(詩人)あらとすAratos(前315ころ―前240/239) 古代ギリシアの詩人。小アジアのキリキアの出身。アテネ(アテナイ)に遊学してゼノンにストア哲学を学び、マケドニアのアンティゴノス・ゴナタスの宮廷に招かれた。現存する作品は、もっとも有名な『星辰譜(せいしんふ)』Phainomenaである。これは「天文詩」とよぶべき叙事詩で、星座と天体の運行を歌い、結尾の400行ほどで天候とその予知方法に及ぶ全1154行の作品。ストア派の教義が作品全体に浸透し、神話や伝説が効果的に用いられて、エウドクソスの天文学が高度な詩へ昇華されている。ほかの多くの作品はすべて伝わらない。[伊藤照夫] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例