日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アポロニオス(テュアナのアポロニオス)
あぽろにおす
Apollōnios
生没年不詳。1世紀の新ピタゴラス学派の哲学者。小アジアのカッパドキアのテュアナに生まれる。求道遍歴の哲人で、各地を旅してインドにまで渡った。また彼は奇跡を行う神秘的能力をもっていたといわれ、ネロ帝やドミティアヌス帝によって迫害されたときも、その力によって逃れたという。彼は反キリスト教勢力によって、イエスに対立する偶像としても祭り上げられたらしい。著作はほとんど残っていない。2世紀末のフィロストラトスによって彼の伝記が書かれたが、内容は疑われている。
新ピタゴラス派は、紀元前1世紀ごろローマやアレクサンドリアを中心に、宗教的時代色を反映して興った神秘主義的哲学者の一団。ほかに、ニギディウス・フィグルスNigidius Figulus(前98ころ―前45)、ヌメニオスNoumēnios(生没年不詳)らがいる。
[田中享英 2015年1月20日]
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