アバークロンビー(英語表記)Ralph Abercromby

改訂新版 世界大百科事典 「アバークロンビー」の意味・わかりやすい解説

アバークロンビー
Ralph Abercromby
生没年:1842-97

イギリス気象学者。貴族長男としてロンドンに生まれる。1860年には陸軍に勤務し,66年には陸軍大学に入ったが,生まれつき身体が弱く,病のため退学し,官職をしりぞいた。その後,療養もかねて世界中を船で航海し,第3回目の航海のとき,シドニーで客死した。この航海中,波や気象の観測なども行い,87年には,低気圧,高気圧,V状低圧部など,七つの等圧線の基本型を提唱した。また,雲の形が世界中同じであることを確かめ,スウェーデンの気象学者ヒルデブランド・ヒルデブランドソンHugo Hildebrand-Hildebrandson(1838-1925)とともに国際雲級図の基をきずいた。著書には《天気Weather》があり,広く教科書としてつかわれた。
執筆者:

アバークロンビー
Lascelles Abercrombie
生没年:1881-1938

イギリスの詩人,批評家。マンチェスター大学出身。ジャーナリストを経て,第1次大戦後リバプール大学教授となり,のちロンドン大学を経て1935年にはオックスフォード大学のゴールドスミス講座準教授となる。作品には詩劇《聖トマスの競売》(1911),詩集マリア野茨(のいばら)》(1910),《愛の形象》(1912),批評作品として《トマス・ハーディ》(1912),《詩の理論》(1924),《文学批評の諸理論》(1932)がある。ジョージ王朝の詩壇を代表する温雅で地味な詩風と,誠実で繊細な,しかし保守的な批評的方法をもつ。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アバークロンビー」の意味・わかりやすい解説

アバークロンビー
Abercrombie, Lascelles

[生]1881.1.9. チェシャー,アシュトンオンマーシー
[没]1938.10.27. ロンドン
イギリスの詩人,批評家。『幕間狂言と詩』 Interludes and Poems (1908) 以下の詩集によってジョージ朝詩人としての地位を確立,『全詩集』 Collected Poems (30) はオックスフォード詩人叢書に加えられた。第1次世界大戦後リバプール,リーズ,ロンドンおよびオックスフォードの各大学で英文学を講じ,『トマス・ハーディ研究』 Thomas Hardy: A Critical Study (12) ,『叙事詩』 The Epic (14) ,『詩の理論』 The Theory of Poetry (24) ,『ロマンティシズム』 Romanticism (26) ,『詩-その音楽と意味』 Poetry,Its Music and Meaning (32) などにおいて,明快で洞察に富む文学理論を展開した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「アバークロンビー」の意味・わかりやすい解説

アバークロンビー

英国の気象学者。ロンドン生れ。陸軍大学を病気で中退。気圧配置型と天気とを関連づけ,平面的な総観気象学を確立した。著書《天気》(1887年)。ヒルデブランドソンと協力して国際雲級図を作った。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android