アッベ(英語表記)Ernst Abbe

デジタル大辞泉 「アッベ」の意味・読み・例文・類語

アッベ(Ernst Abbe)

[1840~1905]ドイツ物理学者・光学技術者。イエナ大教授。光学機器メーカーのカール‐ツァイス社の共同経営者となり、ツァイスとともに、同社の光学機器を開発。ツァイスの死後社長就任顕微鏡改良などに寄与した。

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改訂新版 世界大百科事典 「アッベ」の意味・わかりやすい解説

アッベ
Ernst Abbe
生没年:1840-1905

ドイツの物理学者。光学レンズ,光学機器の改良に貢献した。アイゼナハに生まれ,イェーナ大学,ゲッティンゲン大学で物理学を学ぶ。1863年イェーナ大学の私講師として数学,物理学,天文学の講義を担当,78年イェーナ大学教授となり天文台長,気象台長を兼務する。この間,1866年に光学器械製造業者のC.ツァイスと知り合い,ツァイス光学会社の顧問となり光学研究に取り組んだ。光学器械の中でも,顕微鏡の改良が当時の重要課題であり,アッベの理論的研究は,大きくそれに貢献した。73年レンズの分解能の研究から結像理論をたて,光軸近くの像が収差を生じないための正弦条件を導いた。理論研究のみならず,ツァイスおよびショットOtto Schott(1851-1935)と共同で光学ガラスの改良に取り組み,色消しレンズを開発,さらにツァイスとともに顕微鏡の照明装置,液浸式顕微鏡など光学機器に関する数多くの発明,改良を行ってツァイス光学会社の世界的地位を築いた。88年ツァイスの死後,同社の経営を受け継ぎ,企業家としても活躍した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アッベ」の意味・わかりやすい解説

アッベ
Abbe, Ernst

[生]1840.1.23. アイゼナハ
[没]1905.1.14. イェナ
ドイツの物理学者。イェナ大学物理学および数学教授 (1870) ,天文台長兼気象台長 (78) 。おもな業績は光学器機,特に顕微鏡の理論的・技術的改良にあり,それは 1866年彼がカール・ツァイス社の研究主任に就任したときから始った。顕微鏡用の色消しレンズの考案,照明装置の改良をはじめ,特に顕微鏡結像の理論,分解能の研究では先駆的な役割を果した。 91年科学および社会改良に関する研究に助成金を与えるカール・ツァイス財団を創設。その他,ツァイス社の経営者としても手腕をふるい,従業員,大学関係者を経営に参加させるなどの再編成を行なった。

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百科事典マイペディア 「アッベ」の意味・わかりやすい解説

アッベ

ドイツの物理学者,光学技術者。1867年よりC.ツァイスの工場で顕微鏡を研究,1882年ショットと協力して光学ガラスの製造に従事。この間1878年イェーナ大学教授。1891年カール・ツァイス光学器械会社の創立者の一人となり,1896年より同社長。顕微鏡の理論および液浸法,プリズム双眼鏡,屈折計,分光計その他光学器械について多くの発明,研究がある。→アッベ数

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世界大百科事典(旧版)内のアッベの言及

【カール・ツァイス[会社]】より

…こうした状況下,C.ツァイス(1816‐88)によって1846年,イェーナにつくられた顕微鏡製作所がカール・ツァイス社の始まりである。66年,ツァイスはイェーナ大学の数学・物理学講師E.アッベを招いた。アッベは72年に光学計算による世界初の顕微鏡を完成するなど同社の技術水準を飛躍的に高めた。…

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