アダン(英語表記)screw-pine
Pandanus odoratissimus L.f.

精選版 日本国語大辞典 「アダン」の意味・読み・例文・類語

アダン

(Paul Adam ポール━) フランス小説家リアリズム手法を用い、多くの叙事詩的社会小説を書いた。代表作「時と生命」四部作。(一八六二‐一九二〇

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改訂新版 世界大百科事典 「アダン」の意味・わかりやすい解説

アダン
screw-pine
Pandanus odoratissimus L.f.

熱帯の海岸に広く分布する木本性タコノキ科の植物。アダンの名は琉球の現地名にもとづく。木質の茎を有し,その基部近くからは,太く,分枝をしない気根を多数生じ,上部は二叉(にさ)状に多数の分枝を出す。茎の上部には長い線形の葉を3列のらせん状に密生する。葉は長さ0.9~1.5m,幅5~10cm,葉縁には鋸歯がある。雌雄異株で,雄株は,葉腋(ようえき)から黄白色の苞葉に包まれ,分枝した数個の棒状の肉穂花序を出す。雄花は多数が密生し,芳香を有する。雌株は,多数の雌花が集合した球形の花序を有し,雌花には花被片もおしべも退化してない。果実体は楕円形で,赤熟し,やがてばらばらに1個ずつの果実に分離する。この果実は海水に浮き,広く海流によって分散する。太平洋およびインド洋地域の熱帯から亜熱帯に広く分布し,日本では南西諸島の海岸に普通にみられる。葉は敷物や籠の材料に広く利用されている。果実は成熟するとパイナップル様の芳香を発し,基部の多汁質の部分には甘味があって食用になる。またその特徴的な樹形や葉のため,観賞用に温室で栽植されることも多い。

 小笠原諸島に特産するタコノキP.boninensis Weberはより大型で分枝が少なく,観賞用に温室で栽植されることがある。また,葉はアダンと同様に利用される。このタコノキの仲間は,熱帯に類似した種が多数ある。

木本性の単子葉植物。同じ木本性であるヤシ科とは,茎が通常分枝すること,葉は線形で,葉柄と葉身の分化はしていないことで,簡単に見分けがつけられる。花は退化的で,雌雄異花。多数が密集して花軸上につき,それを苞葉が包む。苞葉はしばしば白や赤色で,目だつことが多い。花序の形態から,サトイモ科やヤシ科に類縁があるとされるが,確実ではない。分布は熱帯圏に限られ,3属400種ほどが知られている。線形の葉は縦に裂けやすく,各種の敷物,籠,帽子を編むのに,広くいろいろな種が利用されるし,ツルアダンの仲間のしなやかな茎も同様の用途に使用される。種子の胚乳はデンプン質のため食用になり,マレーシアのニコバル島ではタコノキの1種P.andamanensis Kurz.が主食として利用されている。また果実が食用にされ,観賞用にも広く栽植されている。
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百科事典マイペディア 「アダン」の意味・わかりやすい解説

アダン

フランスの作曲家。アルザス出身のドイツ系作曲家L.アダン〔1758-1848〕を父にパリに生まれ,パリ音楽院(コンセルバトアール)で作曲家ボイエルデューに認められる。《ロンジュモーの御者》(1836年)などのオペラで成功をおさめたのち,ロマンティック・バレエの代表作《ジゼル》(1841年)を発表。多作家で,オペラ39作,バレエ音楽14作を残した。1849年,父のあとを継いで母校教授に就任。→ドリーブ

アダン

タコノキ科の常緑低木。東南アジア,インド洋地域の熱帯〜亜熱帯に分布し,日本では吐【か】喇(とから)列島以南の沿海地にはえる。幹は斜上屈曲し,太い気根を出す。葉は線状披針形で長さ1〜1.5m,幅5〜7cm,革質で光沢があり頂生する。雌雄異株。肉穂花序は白色。果実は集合果でややパイナップル状。葉は帽子,編物等に用いる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アダン」の意味・わかりやすい解説

アダン
Adam, Adolphe-Charles

[生]1803.7.24. パリ
[没]1856.5.3. パリ
フランスの作曲家。パリ音楽院で F.ボアエルデューに師事。コミックオペラ,バレエの分野で成功。 1849年パリ音楽院作曲科教授に任命された。その名声はフランスにとどまらず,ロンドンやベルリンからも依頼されてバレエ音楽を作曲した。作品ではオペラ『ロンジュモーの郵便馬車』 (1836) ,バレエ『ジゼル』 (41) が特に有名。

アダン
Adam, Paul

[生]1862.12.7. パリ
[没]1920.1.2. パリ
フランスの小説家。代表作は 1800~30年を扱う社会史小説の4部作『時と人生』 Le Temps et la vie (1899~1903) 。

アダン

タコノキ(蛸の木)」のページをご覧ください。

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