ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アダムクス」の意味・わかりやすい解説
アダムクス
Adamkus, Valdas
リトアニアの政治家。大統領(在任 1998~2003,2004~09)。第2次世界大戦中,ソビエト連邦の支配に対するリトアニアの抵抗運動グループに参加して戦い,ナチス占領下では地下新聞を発行。その後,再びリトアニアがソ連の支配下に置かれるとソ連軍に抵抗したが,1944年にドイツに亡命してミュンヘン大学で学んだ。1949年,家族とともにアメリカ合衆国に渡り,シカゴのリトアニア系アメリカ人街に定住した。1960年イリノイ工科大学を卒業。土木工学の学位を取得した。1970年,発足したばかりのアメリカの環境保護局に入局。1971年に中西部地域の副長官となり,1981年に長官に任命された。1997年退職。リトアニアへ帰国してリトアニア市民権を取得,大統領選挙に立候補すると発表した。1997年後半に行なわれた第1回投票では当選を果たせず,1998年1月4日の決選投票で僅差で勝利を収めた。アダムクスは,リトアニアの北大西洋条約機構 NATOおよびヨーロッパ連合 EUへの加盟を支持し,実現させる一方で,ロシアとの緊張緩和や,近隣諸国との友好関係構築のために働いた。ソ連崩壊後の経済的困難に直面しながらも,経済成長と,失業率の低下を実現させた。2003年,再選をねらった大統領選挙でロランダス・パクサスにまさかの敗北を喫したが,パクサスが弾劾にかけられたため 2004年に行なわれた選挙で再選を果たした。2009年任期満了に伴い,大統領を退任した。
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