アタルバ・ベーダ
Atharva-Veda
インド最古の文献であるベーダ聖典の第4番目。前 1500年から数世紀にわたって成立。他の3ベーダが,祭式における賛歌,歌詠,祭詞を担当するのに対し,このベーダは呪法を本領とする。民間信仰と密接に関係しているが,呪法に用いる詩句の間に宇宙の最高原理を説き,高尚な哲学を織り交ぜている。普通『アタルバ・ベーダ』というときは,シャウナカ派の本集をさすが,20巻から成り,731賛歌を含む。吉祥増益の呪法と呪詛調伏の呪法とが中心をなしている。『アタルバ・ベーダ』の哲学思想はほとんど第8~12巻に含まれ,『リグ・ベーダ』末期の思想と,ウパニシャッド哲学とを結ぶ過渡的な思想を示している。
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アタルバ・ベーダ
あたるばべーだ
Atharva-veda
インド最古の聖典ベーダの一つ。小規模かつ個人的な、呪術(じゅじゅつ)的祭祀(さいし)を背景としたベーダ。比較的遅れてベーダ聖典に加えられた。年代は紀元前1000年ごろを中心とするものとされる。しかし内容の一部は『リグ・ベーダ』より古い。
[松濤誠達]
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「アタルバ・ベーダ」の意味・わかりやすい解説
アタルバ・ベーダ
古代インドのバラモン教の聖典〈ベーダ〉の一つ。リグ,ヤジュル,サーマの3ベーダに次ぎ,第4の地位を占める。治病・息災・調伏等の呪術(じゅじゅつ)に関する句を集録したもの。最初は聖典としての権威を認められなかったが,のちベーダに入れられ,ブラフマン祭官が管掌する。前10世紀ころ成立したとされる。
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