アスンシオン(英語表記)Asunción

デジタル大辞泉 「アスンシオン」の意味・読み・例文・類語

アスンシオン(Asunción)

パラグアイ共和国首都パラグアイ川に臨む貿易都市。1537年にスペイン人によって建設され、グアラニー族などの先住民へのキリスト教布教の拠点となった。アルゼンチンブエノスアイレス港が隆盛する17世紀後半まで、ラプラタ川流域の最大の港だった。初代大統領とその息子が眠る英雄霊廟れいびょうや、同国発祥の地とされる独立の家博物館などがある。人口、行政区52万、都市圏245万(2008)。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「アスンシオン」の意味・読み・例文・類語

アスンシオン

(Asunción) 南アメリカパラグアイの首都。パラグアイ川に臨む貿易港。一五三七年、スペイン人により創設された。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アスンシオン」の意味・わかりやすい解説

アスンシオン
Asunción

パラグアイの首都。ラプラタ川水系パラグアイ川の下流部東岸に位置する河港都市で,ピルコマヨ川の流入点に近い。ブラジル高原の西縁にあたる低い丘を占め,標高 53m。気候は亜熱帯性で,夏は雨が多く気温が 40℃をこえることもあるが,冬は涼しく雨も比較的少なく,しのぎやすい。 1537年スペイン人によって建設され,植民地時代初期には南アメリカ東部におけるスペインの植民活動の中心地として発展。市を基地として現在のアルゼンチンのブエノスアイレスサンタフェなどが建設された。 1588年以降はグアラニ族を中心とする先住民のインディオに対するイエズス会の布教中心地ともなったが,1617年ブエノスアイレス地方から分離され,大西洋への出口を失ってからしだいに衰退。 19世紀初めスペインからの独立を目指したブエノスアイレスがパラグアイ地方も支配下に置こうとしたが,パラグアイはこれを退け,1811年スペイン,ブエノスアイレスの両者からの独立を宣言,市がその首都となった。河港としてアルゼンチン,ブラジル,ウルグアイを結ぶ戦略的な要地を占めていたため,パラグアイ戦争 (1864~70) 中,1868年にブラジルに占領され,1876年までその支配下に置かれた。パラグアイの政治,経済,文化の中心地でもあり,周辺の肥沃な農牧地帯に産する綿花サトウキビトウモロコシ,タバコ,果実,ウシなどを集散し,繊維,植物油,靴,粉,飲料,小型船舶,たばこなどを製造する。市内には国立アスンシオン大学 (1890) ,ヌエストラ・セニョーラ (聖母マリア) 大学 (1960) の2大学を中心とする教育機関,博物館などがある。大きな公園や樹木,花などが多い美しい町で,中心部には近代的な市街が広がるが,川沿いには中庭がある1階建ての植民地様式の建物が多い。交通の中心地でもあり,ドックや倉庫が立ち並ぶ河港が同国の主要貿易港としてにぎわうほか,アルゼンチンの鉄道網と連絡する幹線鉄道の起点でもあり,ブエノスアイレスとは道路でも結ばれる。北東郊には国際空港がある。行政的には県に属さない特別行政区。人口 51万8792(2008)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「アスンシオン」の意味・わかりやすい解説

アスンシオン
Asunción

パラグアイの首都。パラグアイ川東岸の貿易港で,政治・経済・文化の中心。人口51万(2002)。初代ラ・プラタ領総督ペドロ・デ・メンドサの命により,アンデス地方への交通拠点として1537年フアン・デ・サラサル・イ・エスピノサが建設。80年までラ・プラタ総督府がおかれ,17世紀以降のブエノス・アイレス港隆盛まで,ラ・プラタ川流域最大の港であった。1811年当地でパラグアイが独立,建国の中心都市となる。フランシア政権下では道路整備や,植物園などの公園づくり,ロペス父子政権下では公共建造物の建設と,19世紀を通じて都市づくりが進んだ。1889年国立アスンシオン総合大学創設,1937年英雄広場にロペス父子をまつるパンテオンが開設された。植民地時代と独立後の都市建設が調和し,〈森と水の都〉と称される。製糖,綿織物,製材,羊毛加工業も盛ん。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アスンシオン」の意味・わかりやすい解説

アスンシオン
あすんしおん
Asunción

南アメリカ中部、パラグアイの首都。人口51万3399(2002)。パラグアイ川がピルコマヨ川と合流する東岸に位置し、海をもたないパラグアイとしては、もっとも重要な貿易港となっている。旧市街地は河岸の低地に、19世紀以降の新市街地は高い台地上に発達し、鉄道、道路の起点となっており、パラグアイの政治、産業、文化の中心である。気候は亜熱帯で、とくに2月は真夏でもっとも気温が高く、しばしば40℃になることがある。夏季には雨が多く、年降水量は約1250ミリメートルである。市の北部と東部には肥沃(ひよく)な農業地帯が展開し、サトウキビ、ワタ、林産物、畜産物を原料とした、製糖、綿業、製材、羊毛加工業が発達しているが、全体的にみて規模が小さく、自給の域を越えない。皮革、硬材、オレンジ、マテチャなどは、川船や鉄道を利用して積み出すほか、道路を利用してアルゼンチンのブエノス・アイレスに輸送している。1537年にスペイン人マルティネス・デ・イララによって建設され、南アメリカ南東部のスペイン植民地の拠点となり、17世紀にブエノス・アイレスが栄えるまでは、ラ・プラタ水系最大の港市であった。1811年、ブラジルによって一時占領されたが、その年にこの地においてパラグアイはスペインからの独立を宣言した。

[市川正巳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「アスンシオン」の意味・わかりやすい解説

アスンシオン

パラグアイの首都。ラ・プラタ川の支流パラグアイ川に臨む河港都市で,17世紀後半ブエノス・アイレス港が隆盛になるまで,ラ・プラタ川流域最大の港であった。1811年の独立後,都市づくりが進み,〈森と水の都〉と称される。1537年創設。51万2112人(2002)。
→関連項目パラグアイ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のアスンシオンの言及

【パラグアイ】より

…正式名称=パラグアイ共和国República del Paraguay面積=40万6752km2人口(1996)=496万人首都=アスンシオンAsunción(日本との時差=-13時間)主要言語=スペイン語(公用語),グアラニー語通貨=グアラニーGuarani南アメリカの中央南部にある共和国。南はアルゼンチン,北東はブラジル,北西はボリビアと国境を接する内陸国である。…

※「アスンシオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android