アザミ(薊)(読み)アザミ

百科事典マイペディア 「アザミ(薊)」の意味・わかりやすい解説

アザミ(薊)【アザミ】

キク科の一属で約200種あり,日本産はおよそ80種。ほとんどは多年草だが二年草もある。広く北半球の暖〜寒帯に分布し,生育地域は海岸から高山にわたる。葉は鋸歯(きょし)または羽状に裂け,鋭い刺針があり,裏面にくも毛を密生するものがある。総包は多列の総包片からなり,総包片の形や配列は種の特徴になることが多い。頭花は多数の筒状花のみからなり,多くのものは秋に開花する。壮大な草姿をもつフジアザミのほか,ノアザミは頭花が径4cmほど,紅紫色で直立し,春〜夏に咲き,本州以南に分布する。初夏〜秋に咲くオニアザミは中部地方北部,東北地方に生じ,濃紫色の頭花はうなだれる。伊豆諸島・伊豆半島以西の太平洋側の海岸砂地にはえるハマアザミは頭花が直立し,葉は強い光沢がある。一般に根の食べられるものが多く,特にモリアザミは栽培もされ,その根は山ゴボウ,菊ゴボウなどと呼ばれて粕漬にされる。なおカッコウアザミキツネアザミ,チョウセンアザミアーティチョーク)などはアザミとは別属。
→関連項目ゴボウヤマゴボウ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アザミ(薊)」の意味・わかりやすい解説

アザミ(薊)
アザミ
Cirsium; common thistle

キク科の多年草で,平地,海岸,山地,高山などどこでもみられ種類も多い。一般に葉は厚く,鋸歯の先が鋭いとげになっているものが多い。春から秋に花を開く。頭状花はすべて管状花から成る。若葉食用になる。またハマアザミ,フジアザミ,モリアザミの根は太く,ヤマゴボウと呼ばれてきんぴらにしたり漬物にする。ノアザミは最も普通で6~8月に淡紫色の花を咲かせる。ノハラアザミは8~10月に原野や低山に多い。タイアザミは高さ 1m以上になる。ハマアザミは海岸の砂地に自生する。フジアザミは本州中部の山地に生え,頭状花は直径 10cmにも達する。

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