アサクサノリ(浅草海苔)(読み)アサクサノリ(英語表記)Porphyra tenera; laver

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

アサクサノリ(浅草海苔)
アサクサノリ
Porphyra tenera; laver

紅藻類ウシケノリ目に属する海藻。別名アマノリともいう。河口付近の遠浅の海などによく発生する。古く江戸時代より東京湾の浅草付近で良質のものが採取され,食用として市販されたのでこの名がある。藻体は薄く1層の細胞層から成り,生きているときは黒紫色であるが,アルコールに入れると葉緑素が溶出して紅色となり,熱をかけると藻紅素がこわされて緑色となる。各細胞には星状の色素体ピレノイド (→核様体 ) などがみられる。雌雄同体で,成熟時に8卵と 64雄精子を生じる。雄精子は鞭毛を欠き,海中を浮遊し,卵を形成した細胞の受精突起に達して受精する。通常は 20cmぐらいに伸びると採取するが,新聞紙大まで成長した記録がある。同属のものに荒海の高潮線付近の岩につくマルバアマノリ P. suborbiculata,オニアマノリ P. dentata,やや寒い地方の潮間帯の木竹につくスサビノリ P. yezoensis,日本海岸,朝鮮半島に分布するウップルアマノリ P. pseudolinearisなどがあり,いずれも食用となる。これらには IMP (イノシンモノリン酸) が含まれ,海苔特有の味,風味の原因をなしている。

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